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12月

=自分への『勇気づけ』をしていますか?=

あなたは、自分と人を比べて落ち込んだというような経験はありませんか?私は音大生の頃、友人の上手な演奏を聴いて、自分のレベルの低さに落ち込んだり、どうしてこんなに練習しているのにうまく弾けないのかと、親を恨んだり、自分の才能のなさを人や環境のせいにしていました。前回も書いた通り、私には華やかな経歴もなければ、生徒がコンクールで大きな賞を受賞したということもありません。かつてはそれをコンプレックスに感じていたことも、正直言えばあります。

でも、そもそも芸術は比較するものではないはずです。コンクールで良い賞を取ることを目指すのは決して悪いことではありませんし、結果を出すために努力することが悪いとも思いません。むしろ、目指すものがあって、それに向かう姿勢は本当に価値あることと考えます。けれども、それに振り回される必要はないのではないかとも思うのです。生徒さんたちのピアノを上達させることは、私たち指導者の使命です。コンクールが生徒さんや指導者、保護者の励みになるのであればそれは素晴らしいこと。ですが、コンクールは一つの基準や目安にすぎません。その評価がすべてではない、と今では自信を持って言うことができます。すべての生徒がコンクールに出る必要もありませんし、まして指導者である私たちが「うちの教室には優秀な生徒がいない」などと嘆く必要はどこにもないということです。この通信を読んでくださるあなたは、既に多くの勉強をされていらっしゃることと思います。ですから、そういうことに気を取られず、堂々と胸を張り自信を持って、生徒さんの指導に取り組んでいただきたいのです。
アドラーは「劣等感」について、こう語っています。「劣等感を抱くこと自体は不健全ではない。劣等感をどう扱うかが問われているのだ。」つまり人は誰でも、劣等感をバネに成長することができる、と教えてくれているのです。

松井美香
「勇気づけの音楽家」東京音楽大学ピアノ専攻卒業。学研「愛のピアノレッスン」にて手記を執筆。
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松井美香ピアノ教室: http://matsuimika-piano.net
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11月

=「勇気づけ」の活動をしていて、最近私が気になっていること=

華やかな経歴もなく、お教室の生徒たちがコンクール等で入賞したということもなく、全く無名の私が、こうして『学研 おんがく通信』のコラムを書かせていただいたり、また、『あなたの想いがとどく〜愛のピアノレッスン〜』(学研プラス刊)に手記を書かせていただけたことは、本当に今でも信じられない奇跡のような出来事です。最近は、大手ピアノメーカーさんのご依頼でピアノの先生方に向けて「勇気づけ」のセミナーを開くことができるようにもなりました。また先日は、ウェブサイト『学研 おんがく.net』の中で、「レッスンQ&A」というコーナーのご質問にも答えさせていただきました。一昨年あたりから、私はブログやフェイスブック、そして無料のメールマガジンでも「勇気づけ」について発信しているのですが、そこにも有り難いことに、多くの先生や保護者の方が訪問してくださり、「共感しました。これからも『アドラー心理学』や『勇気づけ』を勉強していきたいです。」と、連絡をくださっています。そして、こうして多くの人と関わるようになって、私はとても重要な『あること』に気づいたのです。

=おとなにも必要な「勇気づけ」=

それは「多くのおとなも様々な問題を抱えている」ということです。もともと、先生や保護者のみなさんに、子どもたちへの勇気づけをしていただきたくて書き始めた『勇気づけのピアノレッスン』ですが、多くのおとなたちもまた、「勇気づけ」を必要としているのではないかということに、ふと気付きました。今回、『学研 おんがく.net』にご質問くださった先生も、日頃から熱心にご指導されているからこそ、お悩みやご苦労があるのだと思いました。子どもを勇気づけるべきおとなの私たちにこそ、本当はもっと「困難を乗り越える力」=「勇気づけ」が必要なのかもしれません。私たちおとなもまた、「子どもたちへの勇気づけ」と同様に、「自分への勇気づけ」をしていかなければならないような気がしてきました。とは言うものの、それは実際そんなに簡単なことではないのかもしれません。 この話題については、少し話が長くなりそうですので、今回はこのあたりにして、次回はもう少し詳しく「自分への勇気づけ」について一緒に考えていきたいと思います 。

松井美香
元気と笑顔がトレードマーク「勇気づけの音楽家」・音楽指導者・教育カウンセラー・「藤沢勇気づけの会」代表。東京音楽大学ピアノ専攻卒業。
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10月

今年も芸術の秋がやってきました。音楽を楽しむには最適の時期。さて、この秋、どのように生徒さんやお子さんと音楽を楽しまれる予定ですか?

=自ら音楽を演奏されていますか?=

発表会等で講師演奏をされている先生も多いと思います。そんな先生を見て、生徒さんも保護者の方もきっと喜ばれていることでしょう。また事情があって、なかなか演奏はできないという先生もいらっしゃるかもしれませんね。私自身、子育て期間中は演奏の練習時間が全く取れませんでしたし、先生方それぞれのご事情もあるので、講師演奏はしなければならないというものではないと思います。ただ、もし都合がつくのであれば、先生ご自身が努力され、音楽を心から楽しむ姿を是非とも生徒さんに見せていただけたらと思うのです。それが生徒さん達にとって、何にも変えることのできないかけがえのない体験となります。

=演奏を楽しむ姿を見せることの意義=

そうは言っても、人前で弾くことは、とてもプレッシャーがかかりますね。学生時代とは違い、練習に思いっきり時間をかけるようなことはできないですし、他にもこなさなければならないことが多い私たちおとなにとって、それは少しハードルが高いことかもしれません。ですから、躊躇してしまうお気持ちもとてもよく理解できます。そういう場合は、レッスンの合間にでも、生徒さんに先生のピアノを聴かせてさしあげてはいかがでしょうか。レッスンで扱っている曲でも良いですし、ちょっと有名で聴き映えのする曲などでも良いと思います。きっと生徒さんたちは、目を輝かせて聴いてくれることでしょう。完璧に弾けなくてもいいんです。自信がなかったら、曲の一部だけだって、きっと喜んでくれると思います。ちなみに私は、ここ数年、ピアノと歌のライヴコンサートを主催しています。拙い演奏ではありますが、生徒さんや保護者のみなさんに「生演奏はとても良いものですね。」と、嬉しいご感想をいただいてます。

=一緒に弾いたらもっと楽しい=

レッスンの中に連弾を取り入れている先生も多いと思います。生徒さんは先生と一緒に連弾することで、音楽的な感覚も身につきますし、呼吸のタイミングを合わせる大切さや、一人では奏でられない美しい音の響きを味わうことができて、一石二鳥どころではない効果が得られることでしょう。時折、私は中学生・高校生の初見の練習に、簡単な連弾譜を取り入れているのですが、楽しみながら力がつく、と好評です。
このように、私たちおとなが積極的にピアノを弾くことで、生徒さんや子どもたちは、もっとピアノに興味関心をもってくれると確信しています。子どもは、おとなが言っていることはやらないけれど、おとながしていることはするそうです。また、アドラー心理学では「不完全を受け入れる勇気をもちましょう。」と提案しています。先生や保護者がほんの少し勇気を出して、自ら音楽を楽しむ姿を積極的に子どもたちに見せたいものですね。

松井美香
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9月

=心の荒れた生徒たちへの音楽指導=

学研パブリッシングから出版された「愛のピアノレッスン」の中の手記「ある教室のささやかなサクセスストーリー」にも書かせていただいたことなのですが、私は音大卒業後、約10年間、公立の中学校教員をしていました。当時、私はいわゆる「荒れた学校」と言われる中学校に赴任しており、その中学校では「音楽」という教科は生徒にとって息抜きの場でした。私は当時まだ若かったこともあり、生徒には完全に舐められている存在。どんなに私が一生懸命授業をしていても、おしゃべりに花が咲き、私の授業など、ちっとも聞いてはもらえませんでした。生徒に歌を教える時は当然、ピアノ伴奏をしても声が出ないどころか、口すら開けてくれないような、悲惨な状況。今、思い出すだけでも、本当に情けなく辛く悲しい気持ちが蘇ってきます。でも、そんな状況を少しでも改善したくて、私はいろいろな工夫をしていました。

=子どもたちは、本当は音楽が好き=

例えば、こんな提案をしました。「授業中、積極的に歌ったり演奏できた時には、授業の最後にみんなが好きな曲を、私がピアノで弾いてあげるよ〜」と。そうしたら、なんということでしょう! 本当に生徒たちは、私のピアノを聴きたくて、(というより、当時流行っていた曲を聴きたかったのでしょう)少しずつ歌ったり、演奏したり、話を聴いてくれるようになっていきました。私はこの頃、この生徒たちが、どうやったら音楽の授業にきちんと取り組んでくれるのかを、毎日必死で考えていたような気がします。「できるだけ叱らずにやる気にさせる。」それは未熟だった私にとって至難の技でした。褒めるところなんか、全くなかった生徒たち。でも、私は褒めるより「ありがとう!」の言葉をたくさん使いました。

=そこにいてくれるだけで「ありがとう」=

私は生徒たちに、いつも感謝の気持ちを伝えていました。教室を勝手に出て行く生徒もいる中、ちゃんと教室に残って授業を受けてくれた生徒たちに、「ありがとう」と言っていたのです。生徒は教室にいるのが当たり前と、私たちおとなは考えてしまいがちですが、本当はそうではありません。子どもたちは何気ない日常も、いつも勇気をもって行動しているんです。大げさに聞こえるかもしれませんが、生徒たちがそこにいてくれるだけで、「ありがとう」の気持ちがこみ上げてきて、自然に出てきた言葉だったのでした。のちに知ったアドラーが、同じことを言っていたと知った時、私はこの偶然に本当に驚きました。

=「ありがとう」が何よりの勇気づけ=

「ありがとう」と言われて嫌な気持ちになる子どもはひとりもいません。むしろ、おとなからたくさん「ありがとう」を言われて育った子どもは自然に「ありがとう」を言える人になると言えます。そして、感謝されて育った子どもは、他者に貢献する素晴らしさを学ぶことができます。まずはおとなから「ありがとう!」の言葉を、積極的に使ってみて欲しいと思うのです。

松井美香
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8月

=「個性を伸ばす」こととは?=

20年以上前、私が公立中学校で教鞭をとっていた頃のことです。私の赴任先の中学校では「ひとりひとりの個性を伸ばす」という教育目標を掲げていました。その頃も今も、やはり「個性を伸ばす」ということは、教育の大きなテーマのひとつとなっています。私も当時から、子どもたちはみなそれぞれ、素晴らしい資質や才能、個性があると感じていました。そして、それを伸ばすために、教師にできることは何だろうと考えていたのです。ピアノ教師となった今も、その考えは変わりません。

=芸術はセンスが大切?=

私は幼い頃、絵を描くことがとても苦手でした。元々センスがないのか、飽きっぽい性格なのか、自分の思うような絵が描けず、図工の時間はとても苦痛なものでした。今思えば、ただ好きなように自由に描けばそれで良かったはずです。でも、それができませんでした。
当時は相対評価でしたので、評価も自分の納得のいくものではなく、いつも通知表をもらう時にドキドキしていた記憶があります。そんな私がおとなになって、ある素晴らしい美術の先生と出会いました。「誰でも絵が描ける」という本を執筆されている松本キミ子先生です。先生のことは、実際にお会いする前から、本を読んで知っていたのですが、教員研修の講座に、先生のお名前を発見した時は本当に嬉しくて、私はすぐに申し込みをしました。苦手だと思っていた絵がこんな私にも描けるかもしれないと思ったからです。おとなになってまで、しかも音楽の教員が今更…という気持ちも少しはありましたが、どうしても先生にお会いしたくて、講座に参加させていただきました。子どもの頃、苦手だと思っていた「絵を描くこと」。でも、先生が教えてくださる方法で筆を進めていくと、不思議なことにあっという間に素敵な絵になっていきました。自分で言うのもおこがましいのですが、私らしく個性的な絵が描けるようになっていったのです。それもたった一回の講座を受けただけで。とても衝撃を受けました。苦手だと思っていたのは、自分の思い込みに過ぎなかったのです。少し発想を変え、技術を学べば、苦手な私にもこんなに個性的な表現ができるのだということを、この時初めて知りました。

=子どもたちの気持ちに寄り添うこと=

おとなである私たちが子どもたちにしたいこと。それは「共感」です。本人が感じていることを否定せず、「そうなのね。失敗しちゃったと思っているのね。」「うまく弾けなかったと感じているのね。」と、まずは気持ちを認め、受け止めてあげると良いと思います。「褒める」でも「叱る」でもなく、「共感する」ことは、このような場面でも威力を発揮します。是非、一度試してみてください。子どもたちは、一体どのような反応を示すでしょうか。

=まずは気づくことから=

キミ子先生はおっしゃいます。「個性って、元々みんな既にもっているものなのよね。」その言葉を聞き私は、個性というものは、まず自分自身の素晴らしさに気づくことから始まるのではないかと考えるようになりました。教師やおとなは子どもたちが既にもっている素晴らしい個性に気づき、また本人に気づかせてあげることが大切なのではないかと。それによって、子どもたちは自ら伸びていく。私たちおとなができること。それはほんの少しの配慮と援助なのかもしれません。

松井美香
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7月

先日、私のピアノ教室では、1年に1度の発表会が無事終わりました。教員生活10年を経て、ピアノ指導開始後3年目に始めた発表会も今年でもう12回目。毎回様々な感動のドラマがあります。「ピアノを教える仕事に就くことができて本当に良かった」と心の底から思える、私にとって至福の時です。そして今回も、子どもたちにも、来てくださった保護者のみなさんにもご満足いただくことができ、本当に嬉しく思います。

=発表会は生徒の成長を促すチャンス=

発表会には大きな意義があることを、多くの先生方、保護者の方が感じていらっしゃることと思います。小さい子どもからおとなまで年齢は全く関係ありません。たったひとりでステージに立ち演奏をすることで、どれだけ多くの力が身につくことでしょう。想像もできないほどの豊かな可能性を伸ばす素晴らしい機会だと思います。本番を何度も繰り返していくことが、生徒さんたちにとって、とても貴重な経験になりますね。緊張も失敗も、もちろん成功も全てが宝物です。
さて、そんな素晴らしい体験のできる発表会ですが、その発表会を生徒たち自らが心から喜び、成長を実感できる発表会にしたいものです。そのために私たちができることとは一体何でしょうか?

=「うまく弾けなかった」と本人が思っていたら?=

生徒が自分の演奏に満足している時は、共に喜べばと良いと思うのですが、もし「うまく弾けなかった。失敗だった。」と、感じていたとしたら、私たちはどんな接し方をすれば良いのでしょうか? つい言ってしまいがちな言葉のナンバーワンは「そんなことないよ。上手に弾けていたよ。」です。さて、この言葉かけ、読者のみなさんはどのように感じますか? 是非本人の気持ちになって、考えてみてください。私は絶対この言葉を使ってはいけないと言うつもりはありません。むしろ、私自身もずっと、こういうことを生徒たちに言ってきています。でも、もしこの言葉に問題点があるとしたら、どのようなことだと思われますか?

=子どもたちの気持ちに寄り添うこと=

おとなである私たちが子どもたちにしたいこと。それは「共感」です。本人が感じていることを否定せず、「そうなのね。失敗しちゃったと思っているのね。」「うまく弾けなかったと感じているのね。」と、まずは気持ちを認め、受け止めてあげると良いと思います。「褒める」でも「叱る」でもなく、「共感する」ことは、このような場面でも威力を発揮します。是非、一度試してみてください。子どもたちは、一体どのような反応を示すでしょうか。

松井美香
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6月

3月に学研パブリッシングから出版された『あなたの想いがとどく~愛のピアノレッスン~』。『おんがく通信』の紙面でも既に紹介されていますが、本当に素晴らしい本です。私のアドラー心理学の恩師、岩井俊憲先生とピアノ指導者江﨑光世先生、そして吹奏楽のバジル・クリッツァー先生の対談を読ませていただき、私も大変感銘を受けました。この本の中で私は、僭越ながら、手記「ある教室のささやかなサクセスストーリー」を担当させていただきました。読んでくださった方から「涙が止まりませんでした。」等、感想をお寄せいただき、本当に今、嬉しく有り難いと思っています。この本の中で、私は数多くの失敗談を書きました。本当にお恥ずかしいくらい失敗だらけのエピソードですが、音楽指導者や保護者のみなさんのご参考になればという思いで書かせていただきましたので、良かったら読んでみてくださいね。また、ご意見ご感想もお待ちしていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

=失敗から学ぶ=

アドラーが残した言葉には名言が数多くありますが、それらの中で私がとても大切にしているのが「失敗から学ぶ」ということです。私は、音楽の指導においても、子育てにおいても「失敗することを恐れない強くたくましい心を育てる」ことを重要と考えてきました。私自身、本に書きましたように失敗の連続です。それでも、その失敗があるからこそ前に進むことができるのです。失敗をしないと学べないことも多いと思います。体験を通して身に染みて感じるからこそ、成長があると思うのです。私たちおとなも、自ら失敗を恐れず常にチャレンジしていくことで、子どもたちに良い影響を与えることができると感じています。

=好奇心はチャレンジの機会=

子どもたちは元々、好奇心旺盛です。無邪気に、あれもやってみたい、これもやってみたいと、いろんなことに挑戦したがるもの。もし、生徒やあなたの子どもが、今の実力以上の曲を弾きたいと言ってきたら、あなたならどう対応しますか? そこでどんな言葉かけをすると「勇気づけ」ができるのかを、ここでちょっと考えてみませんか? ご自身が子どもの立場になってみるとよく分かります。例えば極端な例ですが、「無理無理! 今のあなたにできるわけないでしょ。」と言われたら、あなたはどう感じますか? 逆に「そうね! この曲、素敵だよね。やってみたいね。今は全部できるかどうかは分からないけれど、最初の部分だけでも弾いてみる?」どうでしょう。どちらが勇気が湧いてきましたか?

松井美香
元気と笑顔がトレードマーク「勇気づけの音楽家」・音楽指導者・教育カウンセラー・「藤沢勇気づけの会」代表。東京音楽大学ピアノ専攻卒業。
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5月

=褒める」ことのデメリットとは=

前回、「褒める」ことを続けていくと、子どもは、褒められるような行動だけを人前でするようになってしまう恐れがあると書きました。中には、褒めてもらえないと、ひどくがっかりしたり、もっとエスカレートすると、褒めてもらえないことに腹を立てたりする子どももいることを、私は実際に多く見てきました。これは、自分がしたいことをするのではなく、人に褒められたいがために、本当はしたくもないことをしているとも考えられます。
「褒める」という行為は、どこか「おとなの言うことを聞かせる」ため、つまり、子どもを操作する手段のように感じたりすることはないでしょうか? いわゆる「アメとムチ」の「アメ」に相当すると考えることもできるかもしれません。

=「褒める」ことは、「上から目線」的な関係=

例えばあなたが生徒だったとして、先生が素晴らしい演奏を聴かせてくださった時、その先生に向かって「よくできた。よくやった。偉いね。」と言うでしょうか? 何か違和感を感じるのではありませんか? 先生によっては、そういう言葉かけを喜んでくださるかもしれませんが、生徒にこんな風に言われたら、きっと多くの先生は苦笑いをされるのではないかと思います。場合によっては「馬鹿にしないで!」と気を悪くされてしまうかもしれませんね。つまり「褒める」ということは、アドラー心理学的に解釈すると「上から目線」であり、「支配の関係」になるということなのです。

=「支配関係」からの卒業=

また、「褒める」ことと「罰を与える」こととは、一見正反対のようにも見えますが、実は根本は同じなのではないかと考えます。「アメとムチ」も、「褒めると叱る」もおとなから子どもへの一方的な関係とも言えるのです。子どもを育てる時、かつてはこの「支配の関係」に基づくことが多く見受けられました。でも、アドラー心理学を実践すれば、もうこのような手段は必要がなくなります。「褒める」でも「叱る」でもない「勇気づけの方法」をアドラーは提案しているのです。

松井美香
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4月

新学年になり、ここでまた気持ちを新たにピアノに取り組もうとしているお子さんや保護者、指導者のみなさんも多いことと思います。さて今回も前回に引き続き、今話題となっている「アドラー心理学をどう音楽教育の現場で生かすかを、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。

=アドラーは褒めることのデメリットを指摘しています=

「褒めて伸ばす教育」が主流の昨今、「褒めないで子どもを伸ばすことが本当にできるの?」と、最近アドラーを学び始めた人によく質問されます。確かに私も、一般的な褒め言葉を全く使わないというわけではありません。
でも、おとなに褒められてばかりいる子どもが、一体どんな風になっていくかを想像してみてください。おとなが子どもに良かれと思い、なんでも褒めてしまうと、子どもは褒められることに慣れてしまい、褒められるために行動するようになることが予想されます。おとなが見ている時はしっかりした行動が取れるのに、おとなが見ていない、つまり明らかに誰にも褒めてもらえないと分かっているような時には、そのような行動が取れなくなってしまったりするのです。

=褒められなくても行動できる人に=

「褒められるために練習することのどこがいけないの?」という質問もいただいてます。私が多くの子どもたちと接していて思うのは、誰もが認められたいと願って生きているということです。だから、子どもたちは親や先生に認められたい、褒められたいと思って、健気に頑張るのです。でも、ここで少し考えてみてください。あなたは、子どもにどんな人になってほしいと願っていますか? 褒められるために行動する人になってほしいですか? おそらく違うのではないでしょうか。例え誰にも褒められなくても、自分で考え行動できる人になってほしいのではありませんか?
子どもは導き方次第で褒めないでも練習できるようになります。行動できるようになります。子どもが自ら判断し自立できるよう援助する。これがまさにアドラーが提唱する教育なのです。
次回も「褒める」について更に考えを深めていきたいと思います。どうぞお楽しみに。

松井美香
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3月

お陰様でこのコーナーも丸一年が経過し、今回は早くも13回目となりました。最近は、多くの読者の皆様から「毎回楽しみにしています」「共感しました」等、ご感想をいただき、本当に嬉しく思っています。ご質問やご意見も伺っておりますので、お気軽にお寄せいただけましたら幸いです。

=ピアノの先生って素晴らしい!=

さて、大変有り難いことに、この連載がきっかけで、昨年辺りから多くの音楽指導者の方々と繋がりをもつことができてきました。私自身、まだまだ未熟者ですので、音楽関係のセミナー等で学ばせていただく機会も多いのですが、そこでも多くの先生との出会いがありました。そして改めて、先生方の素晴らしさに感動を覚えています。多くの先生は、子どもたちの力を伸ばすことに真剣そのもの。その熱心さには頭が下がる思いです。「どんな風に教えたら子どもの能力を伸ばせるのだろうか」を日々研究、実践されているのです。その姿はもう「仕事」を超え「志事」の域だと思います。「ピアノ」や「音楽」を教えるのみならず、「人格形成」「人間教育」にまで携わっていらっしゃる先生方の活動は本当に尊く、これから社会の中でもっと重視されるべきと思うようになりました。そんな素晴らしい音楽教育を、これからももっと広げていきたい。そして「勇気づけの指導法」が先生方、保護者の方々のお役に立てたら、こんなに嬉しいことはありません。

=アドラー心理学は「勇気づけ」の心理学=

昨年から大きなブームとなり、「アドラー心理学」が日本でも多くの人に知られるようになってきました。それでもまだ、音楽指導の現場でどのように使っていけば良いのかが分からないという声も耳にします。「褒めない」「叱らない」で本当に子どもたちを伸ばせるのだろうかというご意見もいただきました。その辺り、確かに分かりにくいかもしれません。「褒めて伸ばす教育」が主流の昨今、アドラーが一番誤解を受けやすいのが、この点についてであると、私も認識しています。

=「褒める、叱る」よりも「勇気づけする」という導き方=

今回から数回にわたり、そのことに関して更に詳しくお伝えしていこうと思います。
25年間アドラーを学んできた私でも「褒める」ことについての説明はとても難しいと感じています。誤解をされないように先に申し上げておきますと、なんでもかんでもとにかく褒めればいいというのは、やはり違うのではないかということなのです。そこには、「おとなの言うことを素直にきけばいい」という安易な考えが見え隠れしているからです。そもそも、私たちは子どもたちにどのように育ってほしいと願っているのでしょうか?「褒める」ことだけ続けていくと、どのような人になっていくのでしょうか?次回までに、少しお考えいただけたら嬉しいです。

松井美香
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2月

=「夢がない」と言う子どもにビックリ!=

私は時々、生徒さんたちに自分の夢を語ってもらうんですが、数年前にこんな会話がありました。ある小学校低学年の生徒さんに「○○ちゃんの夢はな~に?」と尋ねると「夢なんてないよ。」「先生、私ね、おとなになりたくないの。働くのも嫌いだから」と言う答えが返ってきました。私はビックリして、聞き返しました。そんな返事が返ってきたのは初めてでした。「え?○○ちゃんはおとなになりたくないの?」「うん!だって、すごく大変そうだから」私は、最近の子どもは将来に希望がないのかなぁと、うすうす感じてはいましたが、ここまでだったとは思いもかけなかったのです。

=おとなもワクワクしてみませんか?=

おとなの世界は確かに大変です。厳しいです。働かなければ食べていけないし、子どもたちにも十分に食べさせてあげられなくなります。それは私も三人の子育てをしているので身に染みてよく分かります。けれども、子どもたちにもっと夢をもってもらいたい。そして、音楽で元気になってもらいたいと思うのです。それには、おとながまずワクワクした気持ちを思い出してみることなのではないかと思っています。

=ワクワクを引き出す質問とは?=

子どもたちにイメージ力をアップさせる「読み聞かせ」は一番のお勧めです。そして音楽でもワクワクを引き出すことができます。子どもが曲をある程度弾けるようになった時に、こんな質問をされてみてはいかがでしょうか?「この曲ってどんな景色が思い浮かぶ?」「この曲を物語にするとどんな感じ?」「この先ってどうなると思う?」「どんな音で弾いたらもっと素敵になるかな?」あるいは「この曲が弾けるようになったらどんな気持ちになるかな?」等々です。テストではありませんから正解などありません。子どもたちに自由に想像させることで、空想の世界を導き出していくのです。子どもたちは、これらの質問をきっかけにどんどんファンタジーを創造していきます。そして、子どもが答えてくれたことを、一緒に面白がりワクワクしてみてはいかがでしょうか?「それって楽しそうだね!」「凄いね!」「なんかワクワクするね」と。もちろん、こういうことがすぐにできない生徒さんもいます。それでも、みなさんご存知の通り、子どもの頭はとても柔らかいものです。質問をしているうちに徐々に慣れ、楽しさやワクワクを体験することができるようになっていきます。子どもの好奇心をどんどん引き出せるようになったら素晴らしいと思いませんか。

松井美香
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1月

=練習しない子どもについてpart.3=

<本来、練習は楽しいものです>

あなたは「練習」という言葉にどんなイメージを持たれているでしょうか? もしかしたら、「つらい」「面倒」と思っていませんか? でも本当は、練習ってとっても楽しいものです。なぜなら、練習によってどんどん上達するのですから。こんなに楽しいことを、なぜ私たちはマイナスイメージで捉えるようになってしまったのでしょうか。それはもしかしたら、弾けた時の感覚を想像できていないからかもしれません。単調なことを繰り返すその行為だけに自分の意識が向いていて、その先にある、とっても嬉しい気持ちや充実感をイメージできていないからかもしれません。不思議なもので、おとなが思っていること考えていることは、子どもには敏感に伝わると言われています。まず、ご自身が「練習は本当に楽しい」と考えてみませんか。

<練習は本人の課題です>

前回も書きましたが、練習するかしないかは、あくまでも本人の課題です。上手くなりたいかどうかも本人が決めることです。保護者や指導者の願いはもちろんあって良いと思いますし、導くことは必要と考えます。でも、ここで今一度、子どもたちにおとなの価値観を押し付けていないかということだけ、頭の隅に置いていただけたらと思うのです。さて、そうは言っても、やはり練習はして欲しい。その先にある達成感や充実感を子どもに味わわせてあげたいですね。では、実際に子どもをどのように促せば良いのでしょうか。

<「練習しなさい」ではなく「練習してみたら?」という言葉かけ>

まず、先にも書きましたが、弾けるようになった時のことを、子どもと一緒に想像してみてはいかがでしょう? 例えば、発表会でとっても上手に弾けて、多くの人に拍手をもらったシーンをイメージをしてみるのです。本当にその場にいるような臨場感で、どんな会場で、どんな人がいて、大好きな曲が上手に弾けて、大きな拍手をもらった…など、どんどんイメージを膨らませるのです。そして、ここからがもっと大切なのですが、その時の「感情」をリアルに思い描いてみるのです。あたかもそれが今、現実に起こっているかのように、嬉しい気持ちを味わい実感してみるのです。おとなとの会話で、それを子どもに想像させてあげて欲しいのです。そして、それを行った上で「練習しなさい」ではなく、「練習したらそうなれるよ。ちょっとずつでもいいから、練習してみたら?」と提案するのです。きっと子どもの目はキラキラと輝いてきます。

松井美香
元気と笑顔がトレードマーク「勇気づけの音楽家」・音楽指導者・教育カウンセラー・「藤沢勇気づけの会」代表。東京音楽大学ピアノ専攻卒業。
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