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【あした、親子で読みたい本】病気や障害について考える本

【あした、親子で読みたい本】病気や障害について考える本

子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。


夏休みになりました。オリンピックが話題になっています。もうすぐパラリンピックも始まります。今回は、普段生活をしていてなかなか接点のない、障害者や小児病棟で入院治療をしている子どもたちに目を向ける本を紹介したいと思います。

『パラリンピックは世界をかえる』(福音館書店)

パラリンピックでは車椅子と車椅子がぶつかりながら競技をしたり、義足で走る姿があったりします。パラリンピックはいつからどんなきっかけで始まったのでしょう。この本は、パラリンピックをうみだした医師ルートヴィッヒ・グッドマン博士の物語です。当時、博士は治らないとされていた脊髄損傷の患者の治療をしてきました。患者は、上半身の筋肉を鍛えるリハビリをしていましたが、ある日、馬の代わりに車椅子を乗りこなす「ポロ」という競技をやることにしました。すると、それがリハビリになり、病院内の競技会になり、のちにパラリンピックという大会に成長していくのです。障害のある方でもスポーツの場ができてよかったとは思っていましたが、この本と目の前に迫っているパラリンピックを見て、より理解を深める機会にできたらいいなと思います。(対象年齢:小学校4年生~)

作:ローリー・アレクサンダー
絵:アラン・ドラモンド
訳:千葉茂樹
出版社:福音館書店
定価:2,640円(税込)
商品詳細:『パラリンピックは世界をかえる』(福音館書店商品ページ)

『二平方メートルの世界で』(小学館)

主人公の女の子は年に何度か検査入院をします。ベッドの大きさは、縦約二メートル、幅約一メートル。その周りをぐるりと囲うカーテンの中が、入院中の女の子の世界のすべてです。病院で過ごす時間は家や学校で過ごす時間とは違う気がすると、女の子は言います。入院中は家族のことを考えたり、小児病棟のことを考えたり、病気のことを考え奇跡を願ったり、孤独感を味わったり、複雑な心理状態にあります。
そんなある日、女の子はベッドにまたがるオーバーテーブルの裏に書かれた寄せ書きに気づきます。寄せ書きを通して女の子は、たくさんの誰かが「ひとりじゃないよ」と、自分に語り掛けてくれた気がしたのでした。
この絵本は、そんな女の子が書いたもので、心により迫るものがあります。(対象年齢:小学校3年生~)

文:前田海音
絵:はたこうしろう
出版社:小学館
定価:1,650円(税込)
商品詳細:『二平方メートルの世界で』(小学館商品ページ)

『セラピードッグのハナとわたし』(文研出版)

おばあちゃんが入居している老人ホームに、セラピードッグがやってきます。ある日、引退したベテランのセラピードッグ・バギーにかわって「見習い・ハナちゃん」と書かれた札を首からぶら下げたセラピードッグがやってきました。その犬を見た四年生の花菜はハナちゃんの泣いているようなさびしい目やとじた口が気になりました。
ワンコ村で訓練を受けるハナちゃんは、ジャンプがなかなかできないでいます。それを見た花菜はハナちゃんと自分の性格を照らし合わせながらハナちゃんのことを考え、関わっていきます。ハナちゃんはセラピードッグとして成長できるでしょうか。
セラピードッグの本には、ノンフィクションのものもあります。『名犬チロリ』(岩崎書店)、『ベイリー、大好き』(小学館)などです。関心があったら読んでみてください。小児病棟で治療を受けている子どもたちに寄りそう姿などが書かれています。(対象年齢:小学校4年生~)

作:堀直子
絵:佐竹美保
文研出版
定価:1,540円(税込)
商品詳細:『セラピードッグのハナとわたし』(文研出版商品ページ)


市川 久美子(いちかわ くみこ)
元書店員。JPIC読書アドバイザー。1981年地域文庫の立ち上げに携わる。後に家庭文庫も開く。同じ小学校で15年以上読み聞かせ・語り・ブックトークを行い、作家さんなどの授業も15年企画。市立図書館・中学校図書館勤務の後、1999年より大型書店児童書担当として20年勤務。退職後は、児童書関連の執筆・講演を行う。著書に『ねんねのうた』(佼成出版)がある。


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