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まんがでわかる! 意外と身近な名曲クラシックの世界・第6回「ドヴォルザーク」

まんがでわかる! 意外と身近な名曲クラシックの世界・第6回「ドヴォルザーク」

クラシック音楽ってむずかしい……?
いえいえ、そんなことはありません! クラシックはいわゆる当時の流行ソングで、その時代を生きる人々にさまざまな場面で親しまれ、愛されてきました。
長い時を経た現代でも、テレビや町のなかで、私たちは気がつかないうちにたくさん耳にしています。
これから、作曲家とその有名な曲のお話を、『伝記 世界の大作曲家 15人の偉人伝』のまんがのシーンと共に紹介していきます。
ぜひクラシック音楽と仲よくなってくださいね🎹🎵


ドヴォルザークが見た、当時の“新世界”ってどこのこと?

夕焼けにつつまれた町を、わが家へと急ぐ人びと……。
そんな場面にぴったりなこの曲を、耳にしたことはありませんか?

オーボエ(木管楽器の一種)のメロディーがとても美しいこの曲は、ドヴォルザークが作曲した交響曲第9番「新世界より」の第2楽章です。
タイトルの「新世界」とは、アメリカ合衆国のことをさしています。
この曲がつくられたのは1893年。アメリカ合衆国は建国から百数年がたっていたもののまだまだ新しい国で、ヨーロッパの人たちは「新世界」「新大陸」などと呼んでいました。ドヴォルザークはアメリカ滞在(たいざい)中にこの曲を作曲します。
特に第2楽章には遠くはなれた祖国をなつかしく思う気持ちが表現されており、のちに弟子のフィッシャーがメロディーに歌詞をつけて、『家路』という合唱曲になりました。

日本でも、宮沢賢治をはじめとする多くの人が歌詞をつけており、現在では堀内恵三作詞の『遠き山に日は落ちて』が、広く親しまれています。
ぜひ目を閉じて、ゆったりとした曲の雰囲気(ふんいき)を味わいながら聴いてみてくださいね。

音楽に愛された少年・ドヴォルザークのゆれうごく人生

この曲を作曲したのは、1841年にボヘミア(現在のチェコ共和国)の小さな農村で生まれたアントニン・ドヴォルザークです。
ドヴォルザークは、大きくなったら家業の精肉店をついでほしいという父親の期待のなか、美しい田園風景に囲まれのびのびと育ちました。

幼少期から日曜日に教会で合唱やオルガンを聴き、お祭りでおどるポルカ(チェコの民族舞曲)にうきうきしたりと、音楽が身近にある生活でした。
そんな環境(かんきょう)のなか、めきめきと音楽の才能をのばしていくドヴォルザークですが、彼は家業をつぐことを望まれていました。

ドヴォルザークは、13歳になったころ、肉屋の修行とドイツ語の勉強をするために、ズロニツェという町に行きます。
ズロニツェの町でも、ドヴォルザークの音楽の才能は見出されていました。ドイツ語の先生でもあった教会の楽長から作曲や演奏を教わり、その後再び修業に専念するために別の町を訪れますが、そこでも教会の合唱長がドヴォルザークの才能を見ぬいていたのです。

立派な肉屋になってもらうため、父親はドヴォルザーク音楽から引きはなし、家業の道に連れもどそうとしますが、ついには息子のためを思い、首都プラハのオルガン学校へと送りだしたのでした。ドヴォルザークは16歳になっていました。

祖国への愛、チェコの人びとにささげる音楽

やっと音楽に集中できる環境(かんきょう)を手にしたドヴォルザークは、学校の成績はとても優秀(ゆうしゅう)で、卒業したあとはヴィオラ奏者として楽団にはいります。
そして、この楽団がある劇場のオーケストラの一部となり、そこでスメタナに出会います。スメタナは、当時独立運動が盛んだったボヘミアで、「国民音楽の父」と呼ばれていました。
彼に影響(えいきょう)をうけ、ドヴォルザークもまたチェコの人びとのほこりとなるような音楽をつくることを決意したのです。

その後、奨学金(しょうがくきん)を通じてブラームスの支援を受けたドヴォルザークは、彼の紹介で大きな出版社から1878年に『スラブ舞曲』を発表し、これが大ヒットとなります。
こうしてドヴォルザークはボヘミアを代表する作曲家へと成長していきます。

その後5Ⅰ歳でアメリカへわたり、3年間音楽院の院長として働く間にも名曲を生みだしたドヴォルザークは、ボヘミアに戻り、62歳でその生涯をとじました。故郷の自然と民族の魂(たましい)をたたえる音楽を表現し続けたドヴォルザーク。
活気にあふれる街や、人びとのありのままの暮らしを彩(いろど)った楽曲の数々は時を経て現代の私たちの生活にもそっと寄りそいつづけています。


第6回「ドヴォルザーク」はいかがでしたか?
ドヴォルザークについてもっと知りたくなったら、ぜひまんがの続きも読んでみてくださいね。
次回は、日本音楽の明星(その分野で特にかがやいている人のこと)・滝廉太郎(たきれんたろう)を紹介します。お楽しみに!

前回の記事はこちら

Information

出典
『新版 伝記世界の大作曲家―15人の偉人伝―』
学研プラス(編)
監修・指導:ひの まどか
定価:1,870円(本体1,700円+税10%)

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