第7回「新緑をさらにきれいに撮る」

春の息吹が見られる木々には、人の心を奮い立たせる魅力があります。いつもの歩く道からも新芽が目に飛び込み、若葉が広がれば緑の色彩が拍手しているようです。ウォーキングも、郊外へ、里山へ、山へ、広がるにつれて、それぞれの新緑の表情に感動します。カメラを持つと、さらにきれいに撮ってみたくなります。アングルを見つけ、光を味方にし、高低差の趣も異なっていることに気付き、山間部で霧に出合うと立ち止まります。創作欲が出てきたら「感動発見!」間違いなし、です。新芽、若葉、新緑……季節の言の葉とビジュアルのバリエーションも楽しんでみたいですね。

①白樺林は屏風絵

作例A

白樺林は多くの人が安らぎを感じる癒しの空間です。身を置くとほっとします。なかでも若葉が芽吹くタイミングに出向き、カメラで撮る工夫をしてみましょう。晴れて雲が飛んでいるときは、雲が太陽を隠した瞬間に、柔らかい雰囲気が漂います(作例A)。白樺の幹が白トビ現象を起こさないように気をつけて、プラス補正をしたバリエーションを撮ってみましょう。壁紙パターンのような屏風絵は部屋に飾っておいても飽きがきません。

②光を効果的に利用する

作例B 

広葉樹でもシダ類でも、太陽光が葉に当たるとき、太陽と反対側から撮影してみましょう。作例Bのシダは斜面に生えていますので、無理なアングルでなくてもカメラが向けやすいです。シダの葉が透けて淡く輝いて見え、葉の輪郭を印象的に表現できます。この光線状態を逆光と言いますが、葉が萌えあがるような効果が期待できます。背景の濃度の影響を受けて、葉の色味が薄くなることもありますので、撮影して濃度を変えることも試みましょう。太陽方向にレンズを向けるため、レンズに光が当たると、ゴーストと呼ばれる光の模様が出ることがありますので、注意してください。

③霧が出たらまたとないチャンス

作例C 

トレッキングをしているとき、霧が出たり、雲の中に入ると視界が遮られたりして、急いで通り過ぎようとしがちです。カメラを持った人は、ここでは大チャンスなのです。作例Cの芽吹きの季節はようやく色味が山の中に出始めるころ。霧による遠近感も魅力、霧のスクリーンで、構図がすっきりすることも。作例Cは、しっとりした雰囲気で、霧の向こうから何かが出てくるような幻想的な雰囲気となりました。霧が白いため、カメラ任せでは暗めに写ることが多いので、明るく補正をすることによって、霧の美しさが出てきます。

④残雪と芽吹きと

作例D

山間部や雪国では、春が訪れるころ、根雪が残っています。鮮やかな緑色の若葉と茶色の落葉した山肌と雪のコントラストが美しい時期です。緑色をさらに鮮やかにするために、偏光フィルター(PLフィルター)を使います(作例D)。このフィルター効果を利用することによって、新緑でも紅葉でも、写真で表現した風景がさらに美しくなります。
 

著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中。