第8回「光芒を活かした表現」

大自然に身をゆだねる時に、人間が動物だと感じることがあります。山道では、眼は観察してきらきら輝き、鼻は自然の香りに敏感になり、耳は草木がこすれる小さな音にも反応します。太陽の光に一喜一憂し、風や雨をいやだなと思いながら、楽しむことを忘れないものです。写真を撮る人は、思いもよらない場面に遭遇して、「感動発見!」と喜びます。
万歩クラブの会員さんは、自然現象をあちこちで堪能してきていることでしょう。太陽が作る「光芒」とは、光のすじやほさきのことを指します。ウォーキング中に、その現象に感動したら、さらに写真で感動を増幅してみませんか? 写真で個性的な表現が手軽にできる時代を享受していきましょう。

①天使のはしご

作例A

雲の切れ間から、太陽光が光のすじになって、美しい模様を現すことがあります。これらは、天使のはしご、薄明光線、レンブラント光線などとも呼ばれ、厚い雲の隙間から、太陽光が空中のちりを光らせ、ダイナミックな現象となって現れます。特に山岳風景と組み合わせると、風景のなかで見事な遠近感と立体感を味わうことができます(作例A)。カメラで撮るときは、光の状態にもよりますが、少しマイナス補正をするほうが、光っている部分の描写の白トビを減らし、光のすじが美しく表現できます。

②レンズの絞り効果

作例B

カメラで見上げて画面内に太陽を入れてみましょう。太陽の周りに金平糖のような角が現れることに気がつきます(作例B)。この場合、レンズの絞りを絞るほど、また望遠レンズより広角レンズのほうが、光芒の出方がシャープになります。コンパクトデジタルカメラの方は、レンズが小さいので、カメラを太陽に向けるだけでも写ります。太陽位置によっては、画面全体が暗くなる場合があるので、再生画像を見て、プラス補正で、さらに撮り直してみてください。光芒がはっきりしない明るさのときは、マイナス補正をします。
注意点は、長時間、カメラを太陽に向けないこと。デジタル一眼カメラユーザーは、ファインダーを見つめないようにし、カメラと目を傷めないよう気をつけましょう。

③夕陽は演出家

作例C

夕陽は低い位置からの光となります。日に照らされた植物は、斜光に浮かび上がります。作例Cはススキに太陽光が当たっている場面で、あえて太陽を画面内に配置しました。望遠レンズでは太い光芒になります。光芒の本数は、レンズの絞りの羽根の枚数に影響されます。枚数が奇数ですと、光のすじが多く現れます。ご自分のレンズでどう表現されるかは、絞りを絞って太陽を真ん中に入れてテスト撮影するとわかります。太陽が中央から外れると、ゴーストと呼ばれる光のにじみが画面内に出てきます。

④フィルターの活用

作例D

作例Dは、高速道路で渋滞した時に、フィルターでテールランプの光芒を表現したものです。こういった人工的な照明、たとえばイルミネーションや街の夜景、工場の夜景の撮影に応用しても面白い効果があります。市販のフィルターの中には、十字に光芒を出すもの、六本の光芒を出すもの、色のつき方が違うものがあります。コンパクトデジタルカメラは、フィルターを付ける溝がないものが多いので、手でフィルターを持って、レンズの前にかざすのも工夫の一つです。

著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中。