第9回「夜景の楽しい表現」

夏季のウォーキングは、暑さに負けないよう早朝、木陰、山間など時間や場所を工夫することが大切です。普段から暑さ対策に慣れている会員の皆さんなら、ウォーキングの後に涼しくなる経験もおありでしょう。さらに涼しくなる夜間に明るい街へ出て、撮影を楽しみませんか。あるいは大自然の中に入り、泊まりがけで夜空を堪能してみませんか。
昼間の写真撮影なら、コンパクトデジタルカメラで簡単に撮ることができますが、夜間の場合、少々工夫が必要です。カメラ設定のシーンモードで「夜間」を選ぶと、シャッター速度が遅くなるので、ブレないために三脚の使用がお勧めです。表現を広げるアイテムとして、軽い三脚を持っていきましょう。カメラ

①涼しい夜の公園で

作例A 名古屋

 公園で噴水が美しくライトアップされていました(作例A)。水が涼しげにさまざまな動きを見せてくれます。
手持ちでも写せますが、カメラに三脚をつけ、長時間の露光にすると、水の動きがつながって表現されます。ワイド側や望遠側など、画角を変え構図を意識して、水のさまざまな表情を撮影してみましょう。ホワイトバランスはオートをお勧めします。

②人がいない街を表現

作例B 横浜

 作例Bのように、昼間はにぎやかな場所でも、早朝なら人の姿がない瞬間に出合えることがあります。見慣れた駅前広場で、また住宅街の街路樹のある街並みで、車や人がいないすっきりした場面での撮影に挑戦してみませんか?
日の出の約一時間前から東の空が白み始めます。それから日の出の時間まで、人工光と空のグラデーションの競演となります。マイナス補正ができると、自分の好きな暗さを表現することができます。暗い場所でも操作ができるよう練習してからお出かけください。

③夏山は夜景が魅力

作例C 涸沢カール

夏の山歩きは快適です。できることなら山小屋に泊り、まだ暗いうちから外に出てみませんか? 作例Cは、北アルプス涸沢カールの未明の状況です。前日に日の出方向、北極星を入れる場合なら北の方向などのロケハンをし、就寝前に翌日の機材を準備しておきます。未明になったら、ほかの人に迷惑がかからないよう静かに山小屋から抜け出し、ヘッドランプを頼りに、三脚でカメラの設置をします。風が強いことがよくあるので、三脚は短めにし、石を詰めたレジ袋の重りを三脚に取り付けます。特にデジタル一眼カメラの場合は、ブレ防止機能をOFFにしておくと、ブレません。

④光跡は写真特有の表現

作例D さった峠

作例Dは、東名高速道路と東海道が交差する、さった峠からのアングルです。歌川広重の浮世絵でも知られる眺望です。シャッタースピードを遅くすれば、夕闇が迫る頃から、車のランプが光跡となって写ります。このように三脚を使い、長時間シャッターを開いておくと、車の光跡が撮れますので、お好きな場所で挑戦してみてください。撮るたびにモニターを見て、明るさや露光時間を調節してみましょう。

写真の豆知識 ホワイトバランス

ホワイトバランスとは、白いものが白く写るよう、色の偏りを補正する機能のことです。オートホワイトバランスなら偏った“色かぶり”をノーマルにしてくれます。特に設定しなくても、購入時からこの機能が働いています。
例えば、どんより曇った日に記念写真を撮ると、全体が青みがかって、顔色が悪く写るところを、肌色の“期待色”にしてくれます。夜景の場合は、人工光も見た目に近く色調の再現がなされます。
裏技をひとつ。夕方に西の空が茜色に染まっていくとき、曇りマークか日陰マークを選ぶと、見た目より赤みが増します。夜間にあえて「白熱電球(電灯光)」のモードで撮ると、青色の世界となって、いかにも「夜のしじま」といった表現になります。

著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中