第15回「影を印象的に表現」

日差しの強い季節の撮影には、日陰を意識しましょう。影の美しさをいとおしく感じ、街中や自然の中で、影が作る造形模様に感動を覚えます。影がシンプルなシルエットとなって、面白みを味わわせてくれることもあります。
こんなときカメラを持っていれば、アングルをいろいろ変えるなど、さらに工夫をしてみたくなります。山が好きな人は、別世界を堪能しながら、自然現象に光と影を感じるでしょう。川や池などの水辺でも、単に水面を眺めるだけでなく、影をうまく使う工夫をすれば、「感動発見!」につながることもしばしば。
影を意識して、だれも気がつかない場面を探してみませんか?

①街中での思わぬ出会い

作例A

作例A


 作例A。道の横の壁に楽しい絵が描かれていました。その上に草木が覆い茂っています。太陽がその草木の影を絵に投げかけ、風がその影を揺らしています。絵のなかの子供たちが動き出すような感覚にとらわれました。
 この場合、正面から複写するような位置で撮影すれば、難しい設定は必要ありません。ここでは通行人を配することを心がけました。少しぶれるような表現のシャッタースピードで撮影しました。虚構の世界と現実の世界をないまぜにすることで、新しい表現を生み出すことができます。

②アングル探し

作例B 作例B

ハスの花は、逆光で見ると花びらが透けて、重なる影も美しいものです(作例B)。葉の裏側から見ると、葉脈が広がって造形的な美が感じられ、花の影も印象的です。この両者が見えるアングルにカメラを構えて、夏の日らしい、影が主役の作品となりました。カメラのレンズに太陽光が当たる場合は、ゴーストが出やすいので、手で太陽光を遮るように撮影します。

水面で「感動発見!」

作例C

作例C

スイレンの葉の縁に太陽光がキラリと小さく光って、フォトジェニックです(作例C)。この日は太陽に薄い雲がかかって、色がわずかに感じられます。また、水面を観察すると、スイレンの茎がシルエットになって映り込んでいます。さらに、茎の影が葉に落ちています。水面から突き出た茎と、水面の茎、葉にある影の“茎の三種”が不思議な世界を醸し出しています。さりげない場面で見つけるこんな視点は、「感動発見!」の極みですね。

③自然現象に感動

作例D
作例D

日本第二の高峰、北岳の山頂に淡い傘雲が浮いています(作例D)。淡さのおかげで半透明な影も感じられます。地上に太陽が顔を出した直後、東の空がデザイン化されたような美しい景色が現れました。グラデーションを突き抜ける放射状の光芒です。雲の峰をかすめてきた光と、雲の峰の影が創りだした大空間です。
暗い世界を撮影する場合は、マイナス補正をして、印象的な濃度にコントロールします。マイナス補正の程度をいろいろに変えて撮っておくと、好みの描写が得られます。

写真の豆知識 三脚の知識

カメラ以外に重い三脚は撮影に邪魔なものですが、無いと撮れないものもあります。暗い場合はシャッタースピードが遅くなってブレやすくなります。他にも滝の水を流れるように表現する場合、集合写真、夜景撮影などにも三脚が必要です。
コンパクトデジタルカメラ用には、小さくて軽いもので十分です。山行の際は軽い三脚を持参し、山の中でレジ袋に石を詰め、三脚を重くすれば、風にも対応できます。
最近は脚を180度折り曲げて、短くなる三脚も人気です。スリーウェイというハンドルが三つあるタイプより、フリー雲台のほうが、ワンタッチでアングルを素早く決めやすいので便利です。クイックシュー付きなら、すぐ取り外せます。また、花を撮る人はローアングルが撮影できるタイプを選んでください。

著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中