第16回「尾瀬の秋を表現する」

秋の尾瀬ヶ原は、草紅葉となり黄金色に光り輝きます。代表的な尾瀬ヶ原は、標高が1400mもあるので、9月中旬頃から色が付き始めます。10月に入っていくと、ウルシ、ナナカマドなどはいち早く紅く色づき、ブナやダケカンバの黄色が増えてきます。それは毎年のことなのですが、私たちが行くときは、すこしでも「感動発見!」をしてみたいもの。天気のせいにしないで、天気を自分のものにする気持ちで。季節の進み方を嘆かないで、その時の個性的なものを見つけたいもの。仲間との時間の範囲で、素早く撮影できるスキルを上げておきましょう。同じ道をまた戻ってくるような行程の場合は、行きは標準ズーム、帰りは望遠ズームにすると、レンズ交換の手間が減りますし、観察力も変わってきます。水は造形的な模様を作ります。さまざまなシーンで、水を印象的に撮ってみましょう。ウォーキングには、いつもカメラをお伴に。

池塘ではしゃがんで

写真A

写真A

 池塘の水面に向こうの木や山が映るときがあります。写真Aのように、しゃがんで見ると、もっと木の姿がはっきりしたり、山の形が大きくなったりして見えます。水面のヒツジグサや、雲の位置など構図も考えてみましょう。
秋らしさを表現する場合、草紅葉のボリューム感やフィルター効果による発色も味方にしましょう。囲みで作例を紹介します。

カモの動き

作例B

作例B

カモたちは人をあまり恐れないことに気が付きます。私たち人間もマナーがよく、脅かすことをしないからと思います。大きな声を出さず、じっとカメラを構えていると、近づいてくることもあります。シャッタースピードは1/160秒より速めにするとぶれにくくなります。前後にも動きますので、オートフォーカスを利用するといいでしょう。カモの動きを観察しながら、背景の池塘や木々とのバランスを考えて、近景と遠景を意識しましょう。(作例B)

紅い葉に近づく

作例C

作例C

林の中の木道を歩いていると、ところどころに鮮やかな紅い葉が変化を見せてくれます(作例C)。下から見上げるとき、空が多く入る場合は、プラス補正をすると、紅い葉が暗くなりません。緑の葉と一緒に撮れば、色彩的にも補色の関係で、いっそう鮮やかに感じられます。背景をぼかしたいときは絞りをあけ、ピントを合わせたいときは、絞り込みます。シャッタースピードがゆっくりとなって、ぶれるときは、ⅠSO感度を上げると安心です。これらの変更が素早くできるようになると、カメラスキルも上がってきたといえます。

人との出会い

作例D[

作例D

作例Dをご覧ください。小さなお子さんを背におぶったパパです。カラー写真では、イケメンのパパが真っ赤な、いでたち。お子さんの姿も真っ赤に包まれています。背景に紅葉がきれい。日本万歩クラブのホームページのカラー写真でご鑑賞ください。赤の世界を表現すべく、お声をかけて撮影させていただきました。ここまで努力して来るほど、尾瀬の秋は魅力的なのですね。
カメラ人口が増えていることは喜ばしいことですが、声をかけ撮影をさせていただくと、お互いに気持ちの良いことです。ここにも「感動発見!」をご提案いたします。

写真の豆知識 フィルター効果

風景写真を撮る場合、PLフィルターは風景をくっきりさせるので、よく使われます。空の色や草紅葉の発色を鮮やかにします。さらに、水面の反射をいろいろ変えて見せてくれます。雲の映り込み、ヒツジグサの色調、フィルターを回転して好きな状態を選びます。コンパクトデジタルカメラの場合は、フィルターの溝がないので、フィルターをレンズの前にかざすとよいでしょう。
PL作例E IMG_0625-689
PL作例F IMG_0624-689

著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中。