第19回「夜桜を写真で楽しむ」

春到来、新しい息吹がウォーキングを誘います。裸木の枝からいつの間にか新芽、そして葉が出る前に花が一気に万朶の様相を見せます。日本人にとって定番の花、桜は、歩いての観賞もよし、車座での花見もよし。暖かな昼間が好まれますが、写真を撮る目で見ると、夕景から夜景も魅力的です。日没前後の40分ほどは、マジックアワーと呼ばれるほど、フォトジェニックです。暗くなると、ライトアップされて、光の競演を感じます。
目で感じたようにカメラできちんと写すには、カメラの設定で悩みます。
が、最近のカメラは、オート機能が発達したうえに、シーンごとにカメラがきめ細かく判断して、見た感じそのままに撮ることが容易となりました。手ぶれをしないように、まずカメラ任せで撮ってみてください。モニターを確認して、暗いようであれば、「夜景」の設定をお勧めします。ISO感度を変更できる人は、数字を大きくした高感度で撮り直してみてください。
きちんと写っただけでなく、自分が感動した表現を試みましょう。夜桜は、花そのものよりも、雰囲気を表現することをお勧めします。桜並木のぼんぼり、空の色、照明された花の情景、光線状態、もし雨がぱらついたとき、内蔵のフラッシュ活用……今年の夜桜で「感動発見!」にチャレンジしませんか。いくつかの作例をご紹介します。

作例A

作例A

① ぼんぼりを主役に
作例Aをご覧ください。上野公園で日没の十八時過ぎ。暗くなってくると、ぼんぼりに明かりが点ります。これからが撮影チャンスです。桜を背景に、ぼんぼりの色や明るさを意識しました。まだ空が明るく、花見の人が楽しそうに集まり、「乾杯!」の声も弾んで、歩いて見物する人も笑顔です。コンパクトデジタルカメラなら、オートで楽に撮れます。設定をする場合は、ISO500、20分の1秒、f2.8ですが、ISO感度を上げれば、シャッタースピードを速くできてぶれにくく、暗いレンズでも対応が可能です。

作例B

作例B

② 照明の光を意識
皇居の千鳥ヶ淵は、ボートを楽しむ姿が魅力的です。強い光で、桜やボートを照らしています(作例B)。人の流れがない北の丸公園側に入ってみる
と、逆光に浮かび上がる桜や投光器の光芒がきれいです。ここでは三脚を使います。暗い場所ですので、懐中電灯は必需品です。ISO感度を上げるとボートの動きを止めたり、風対策にもなります。また、フラッシュを使ってみるのが効果的なこともあります。

作例C

作例C

③ 桜を背景に利用
作例Cの場所では、ライトアップされた桜の花を背景に、手前に美しい樹形を見つけました。まるで金屏風を背景に、シルエットの木の曲線美を感じさせます。かなり暗い場所なので、三脚を使ってスローシャッターで撮りました。夜桜を撮る場合、コンパクトデジタルカメラでも軽い三脚があると便利です。夜桜を見るときは、照明された桜以外にも視点を変えてみませんか。
「感動発見!」を楽しんでみましょう。

作例D

作例D

④ 雨を表現
大きな一本桜(作例D)。曇り空でしたが、まだうっすら空が明るく感じられる頃、ぱらぱらと小雨が降りだしました。一般の観光客は退散するのですが、写真を撮る人は「チャンス!」と思います。カメラ内蔵のフラッシュを活用しました。絞りを開けたほうが、雨粒が大きくぼけて写ります。ときどきレンズを拭きながら、たくさん撮って雨粒の写りがいいものをセレクトします。