第20回「ホタルの光跡表現」

梅雨時期の風物詩、ホタル。アウトドアの好きな日本万歩クラブの会員さんならホタル観賞もご関心が高いことでしょう。カメラでホタルの光跡を撮影できたら、感動ものです。
ゲンジボタルは、地域にもよりますが5月から7月にかけて観賞できます。ヘイケボタルは約1か月遅い登場です。飛ぶ時間は19時過ぎから21時前くらいですが、生息地での地元情報を知っておくことが大切です。活発に活動するのは、蒸し暑くジメジメした日。風もなく、月明りがなく、雨が降っていないとたくさん飛びます。
コンパクトデジタルカメラでの設定をお伝えします。シャッタースピードを長くできること。例えば30秒。ISO感度を大きな値にすること。例えば3200。レンズが明るいカメラの場合は、ISO感度の値を小さくすることはできます。フォーカスはMF(マニュアルフォーカス)を使い、草や川面などにピントを合わせます。フラッシュは発光禁止。三脚を使ってカメラを固定します。明るい時間帯に設定を完了させ、テスト撮影をしておきます。また、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラの場合は、レリーズまたはリモコンを使うことをお勧めします。
懐中電灯で照らさない、フラッシュを発光させない、虫よけスプレーを使用しないなど、マナーはしっかりとお願いいたします。

場所がわかるように撮影

作例Aをご覧ください。生息地の情景が写ると、ホタルが少なく飛んだだけでも雰囲気が出てきます。この光跡は、実はピントがあっていないのですが、ホタルの光跡表現では、逆に太くなって効果的になります。
この撮影データは、ISO5000、10秒、F5.6。長野県辰野で6月18日19時53分。飛び始めた頃です。この後大量に発生をいたしました。一般の撮影データの目安を添えておきます。光跡の明るさはレンズの明るさとISO感度で決まります。レンズの明るさがF4ならISO3200、F2.8ならISO1600は目安です。シャッタースピードが長い場合は光跡がたくさん写りますが、デジタルノイズが生じてきます。

作例A

作例A

光跡の描写

東日本のゲンジボタルは、約4秒に1回点滅します。西日本では約2秒、中間地点では約3秒に1回点滅します。写真に撮ると、光跡が切れたり太さに変化が出たりします。ところがヘイケボタルは、約1秒に1回の点滅をするので、破線を描くように写真に写ります(作例B)。
撮影日時は、栃木県で7月27日19時46分。渓流脇の木の手前や向こう側で飛んでいるので、光跡にも遠近感が表現できました。飛んでいるホタルは雄なので、求愛してメスを見つけると飛ばなくなります。

作例B

作例B

ホタル乱舞の表現

ゲンジボタルの光はホタルの中で最も明るいので、大量に飛んだ時は作例Cのような画像が得られます。暗い場所ですが、渓流を上から見下ろしているので、川原の状況も描かれます。三脚を使って、デジタル一眼カメラで撮影する場合、ブレ防止機能をOFFにすることをお勧めします。
飛翔数が少ない時には裏技があります。デジタル時代の恩恵で「比較明合成」という機能が搭載されているカメラはこれを利用します。これがないカメラは、分けて撮影し、後日ソフトで合成します。ご関心がある方はWEBで「比較明合成」を検索してみてください。

作例C

作例C

写真の豆知識 レリーズとリモコン

ホタル、花火、星、風景でのスローシャッターなどの撮影時には、カメラ本体に触れないで、シャッターを切るアクセサリーがあると助かります。レリーズは、リモートレリーズ、リモートスイッチ、リモートコードなどと呼ばれ、ケーブルの付いたスイッチと思ってください。リモコンは、ケーブルを使わないで、離れた所からシャッターをON/OFFできます。
ところが、これらが使えないコンパクトデジタルカメラは多いです。対策として、三脚使用でシャッターを長くして指でそっと押します。デジタル一眼レフカメラやミラーレス利用者は、幅広い撮影をするので必需品です。バルブで好きな時間の撮影ができます。ロックすることにより、カメラから離れることもできます。

著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中。