第21回「夏山で楽しむ撮影」

夏を迎えると、山岳のウォーキングが人気を集めてきます。下界は非常に暑いので、高度のある山歩きは、爽快な気持ちにさせてくれます。低山のハイキング程度しかしていないという人でも、日帰りでしか山へ行かないという人でも、森林浴に浸り、山間部の涼しげな風を受け、下界では見られない空気感のある風景や木々の生命力を発見する楽しみがあります。さらに、森林限界を超えるような高山の夏山でも、シーズン真っ最中です。昼間の時間が長く、朝や夕方の撮影でも寒さが厳しくありません。感動があちこちに見つかります。特別な撮影方法でなくても撮れる被写体との遭遇で、「感動発見!」をいたしましょう。

① 駐車場から山を撮る

作例A 光芒

作例A 光芒

作例Aをご覧ください。山梨県・瑞牆山(みずがきやま)です。みずがき山自然公園の駐車場から早朝の撮影です。車で行くことができますので、山歩きの専門家でなくても撮れる場所です。太陽が昇ってきて山頂に重なるときに、光芒を撮影することができます。サングラスを使い、直接太陽を見ることは避けましょう。またカメラを三脚で固定する場合は、注意が必要です。撮影場所は駐車場なので、動くことができるため、位置とタイミングを見て手持ちでたくさん撮影できます。ダイヤモンド表現の撮影月は多くありますので、自分の好きな日程でチャレンジしてください。

② 雲が飛ぶ

作例B 雲が流れる

作例B 雲が流れる

北穂高岳から槍ヶ岳を見ていると、夕景の中で、雲がゆっくり眼下を通過していきます(作例B)。赤く染まっていく太陽に照らされた雲はピンク色がかって、青みを帯びていく山容を背景に、雲が浮かびあがる屏風絵です。夕景撮影の場合は、カメラ設定がオートだと昼間のように明るくなりますので、マイナス補正をすると暗くなり、色調も色濃く表現できます。

③ 風が見える

作例C 風の影響

作例C 風の影響

高山を歩いていると、風が一年中強く吹く場所があることがわかります。作例Cの木は、絶えず同じ方向からの風により、風上方向へ枝が完全に伸ばせない姿です。風がない日でも、風が見えます。夏山で高山を歩く人は、このような木を見つけてみませんか。そして、森林限界までは、ハイマツが樹高一~二mで、風の抵抗を受けにくいように地を這うような景観もあります。

④ 霧は撮影チャンス

作例D 真上を見上げて

作例D 真上を見上げて

霧に包まれたら、一般のハイカーからは「何も見えないから早く行こう」と聞こえてきます。でも「『きり』がなく撮影できる」と軽口が飛ぶように、撮
影する人は喜びます。作例Dは、森の中で見上げてカメラを素直に構えました。この時、ズームは広角側(W)を使うと、空気感と遠近感とがよく表現できます。構図のとらえ方を工夫して、新鮮な表情をモノにしてみてください。

⑤ 雨滴を絵柄に

作例E イワベンケイ 雨滴

作例E イワベンケイ 雨滴

作例Eの高山植物は、イワベンケイ。岩だらけの砂礫地で生命力を感じます。高山なので九月にはいち早く葉が紅葉へと変化してきます。この時は、霧雨が降っており、イワベンケイの葉には、たくさんの雨滴がキラキラと輝いていて、花が咲いているときとは違う魅力を感じます。撮影位置を低くし、主題に近づき、背景の描写を意識して画面構成をします。

著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中。