第22回「晩秋の風物詩・ころ柿」

歳時記を意識して、歩くことは「日本人」を感じて、趣があります。

晩秋の「ころ柿の里」を見て回りました。『ころ柿の里ウォーキング「信玄の里コース」』と表示された道標があちこちにあります。JR塩山駅を起点・終点にして、恵林寺をはじめとした寺社、甘草屋敷、展示館のほかに、多くの農家でころ柿をすだれのように吊るした美しい情景を味わうことができます。コースどおりに回るもよし、好きな所でゆっくり撮影するもよし。

広い敷地で作業をしている場面が見られる岩波農園は、テレビ取材が入ったり、大型バスの観光客も鑑賞に来たりする人気のスポットで、じっくり撮影させていただきました。見学自由で、その場で出来上がった干し柿を食する機会もあります。塩山駅近くの「甘草屋敷」は切妻造民家として重要文化財に指定されていますが、民家内に入ることもできるので、柿のれんを身近に撮影することもできます。マナー良く個性的な感動発見を楽しんでみたいものです。

 

1.甲州百目柿をむいて

作例A

 

甲州百匁柿とも書くように、1つの重さが350gから400gもある大型の渋柿の皮をむきます。小枝の部分をT字の形にするとひもを素早く取り付けることができます。

作例A:ひもを取り付けた状態を見せていただきました。絞りを開けて撮ることによって、宙に浮いた柿を浮かび上がらせることができます。

 

2.柿すだれを個性的に表現

作例B

柿が吊るされた状態を、言葉では、柿すだれ、柿のれん、柿カーテンなどと呼びますが、そう感じるような真横から見た姿の写真を多く見かけます。作例Bでは、天日で乾燥している状態を広角レンズで下から見上げるアングルを選びました。この時、絞り値を大きくすることによってピント範囲が広がり、吊るされた柿の遠近感が出て、更に背景に幅広い情景を取り込むことができました。

 

3・影を主役に

作例C

 

有料施設の「甘草屋敷」では、旧高野家住宅の室内に入ることができます。作例Cは、畳の部屋から使い込まれた縁側に目を向けると、秋晴れの強い太陽光が、柿の影をフォトジェニックに見せています。三脚は使えませんので、手持ち撮影でローアングルの不安定な姿勢でもぶれないように気をつけます。絞り値を大きくすることによって、手前から奥までピントを合わせることができます。

 

4.太陽光の光芒の表現

作例D

作例E

作例Dの絞り値はF5.6で開き気味、作例Eの絞り値はF22で絞り込んだものです。ご自分の好きな太陽光の光芒描写を考えましょう。作例Dのような柔らかな光ならば、絞りを開けた方で、光芒の光の筋をシャープに出したいときは絞り値を大きくします。光芒の筋は、望遠レンズより、広角レンズの方がシャープになります。

 

太陽を画面内に入れる場合は、注意が必要です。強い光なので、目やカメラに悪い影響を与えます。撮影時に構図を決める時やピント位置を確定する時は、太陽をひさしまたは竹の陰に置き、いざシャッターをきるタイミングの時に体をわずかに上下して、太陽が見える時に撮影します。

 

★「感動発見!写真体験」の連載は今回が最終回です。

次号からは光川十洋さんに「表紙のことば」で登場いただきます。

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著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中。