プロローグ~新たな挑戦~上

平成から令和へ。新しい時代の幕開けである。

 思い返せば平成の世の三十年、のんべんだらりと日々を過ごしてきた。そんな我が身を振り返ると、ここが最後のチャンスのように思える。

 新しいことに挑戦したい!

 ただなぁ…。

 基本ものぐさで出無精で不器用なタチである。ちまたの人々が謳歌するすべての趣味、レクリエーションがハードル高く思える。そんな話を飲みの席でしていると、

「歩くくらいはできるだろ」と友人が言った。

「そりゃできるさ」

ばかにするなと怒ってみせる。自慢ではないがとてつもない方向音痴なのだ。徒歩十分と地図に書かれた取材現場に行くのに、あっちへうろうろこっちへうろうろしながら、地図をひっくり返してはまた元に戻し、二十分後にようやくたどり着くというのは日常茶飯事。「ひとの倍は歩いているね」と胸を張る地図の読めない私である。

「だったら」と友人は続けた。日本万歩クラブという団体がある。一日一万歩運動を提唱し、日本で初めて財団法人として認可されたウォーキングクラブで、創設五十余年の歴史を誇るのだと、こちらはこちらで胸を張る。友人は去年から万歩クラブの事務方の仕事をしているそうだ。「街を、自然の中をただ歩くだけなんだけどね。面白いんだ。いろんな発見がある」

 言われてみると、長年関わっているテレビ業界も散歩番組ブームである。タモリが街をブラブラし、さまぁ~ずのゆるさにもやもやし、高田純次のいい加減さに苦笑する…。街歩きはもはや立派なエンターテインメントだ。

 さほど技術も体力も金も使わず、かつ健康にもすこぶる良い…考えれば考えるほど、ウオーキングほど新たな挑戦にふさわしいものはないような気がしてきた。

 よし、歩こう!

 平成のように流されないで、令和という時代は、自らの足で歩くのだ。

(まいた・ようへい=芸能ライター)