東京の道・春日通り

春日通
春日局之像

 万歩クラブの人気例会に「東京の道」というシリーズがある。その発案者である元リーダー・宮本侃司氏の案内で、春日通りを茗荷谷駅から湯島天満宮まで歩くことになった。ベーシックな街歩き、果たしてこの道にはどんな顔があるのやら。

 徳川家光の乳母・春日局が拝領した土地にその名が由来する文京区春日を中心に東西に延びる道で、通り沿いには徳川将軍家由縁の寺である伝通院や春日局が眠る麟祥院などがある。伝通院は家康の母・於大の墓など徳川氏ゆかりの女性や子供が多く埋葬されているそうで、そう聞かされると、寺全体になんだか柔らかく優しげな雰囲気がある。於大や千姫の墓も、丸く、どことなく女性っぽい形だ。

 十六万人余りの東京都の戦没者の霊をまつった東京都戦没者霊苑を訪ねたあと、春日局像のある礫川公園へ。真横に公園を見下ろす巨大なビルがあり、それが区役所(文京シビックセンター)だと聞いて仰天する。二十五階の展望ラウンジは、東は東京スカイツリー、西は新宿副都心とその向こうに富士山という大パノラマが広がり、圧巻。南側には展望レストランもある。ここが無料開放されているとは文京区民がうらやましい。

 シビックセンターを出て、少し行くと現れたのが、柔道の指導研究機関・講道館。創設者である嘉納治五郎像を目にした瞬間、役所広司演じるエキセントリックな嘉納先生が脳裏によみがえる。そう、今日歩いてきた道はNHK大河ドラマ『いだてん』の金栗四三が日々走った道でもあるのだ。

 そこから十分ほど歩けば石川啄木が二年ほど間借りしていた喜之床旧跡がある。朝日新聞社で校正係として働いていた啄木。『二晩おきに夜の一時頃に切り通しの坂を上りしも 勤めなればかな』-こんな歌を詠んでいたと知ると一気に親近感がわいてくる。これって今で言うと『今日も仕事で終電逃すなう』的なツイートと一緒じゃない?

今回1万2528歩 距離約8.5km

(まいた・ようへい=芸能ライター)