東京駅の歴史に触れる

 いっぽう地上に目を転じれば、2012年に創建当時の姿に建て替えられた赤レンガ造りの丸の内駅舎がクラシカルな美と歴史を感じさせる。新一万円札の図柄にも採用されたので、これからますます馴染みの場所となるだろう。

夏休み、どこか近場に出かけようということになってカミさんが提案したのが東京駅だった。地下街や周辺施設が再開発されてから足を運んだことがなかったので、ぜひ行ってみたいというのだ。行ってみるとたしかに楽しい。土産物、スイーツ、駅弁、キャラクターショップに飲食店…駅地下には食欲とショッピング欲をそそる店舗がズラリと並び、何時間いても飽きない。東京駅の地下には真新しい一つの街が広がっていた。

 社会見学例会の第二弾は、その東京駅。地下街ではなく駅舎を中心に、身近にある歴史を感じさせるウオーキングとなった。元JR社員の伊澤利和リーダーのツテで、歩く前にサービスマネージャーの方々から東京駅の歴史や駅長の裏話、駅舎内の様子などの丁寧な解説を受ける。「東京駅は原敬、浜口雄幸と二度の首相襲撃事件の舞台となりました。さぞ危険な場所と思われるでしょうが、それ以降襲撃事件は起こっていないので安心してお歩きください」と送り出されて、ウオーキングに出発。

 中央線のホームから線路の奥を見れば、数字の0をかたどったゼロキロポストがある。路線の起点の位置を示すもので、中央線の場合はここからの距離で運賃が決まる。五、六番線には1914年の開業時のホームの支柱が残されていた。周りの武骨な鉄柱とは違い意匠を凝らした円柱で、そのデザイン性の高さに当時の駅舎への美意識を感じる。

 浜口首相遭難現場は新幹線乗換口のすぐ近く。これまで何度も通った場所だったが気づかなかった。「ここだ、ここだ」と万歩会員たちが集まり、そこで待ち合わせていた外国人が何事かとキョトン。いっぽう、原首相の遭難現場は丸の内南口の切符売り場のあたり。見上げると八角形のドーム天井が美しい。

 床に記された襲撃地点の上を人々が足早に歩き去る。陰惨な歴史をも人々の日常は踏みならしていく。たまには振り返り、過去を思うことも必要だろう。

今回4324歩 距離約3km

(まいた・ようへい=芸能ライター)