運動後の一杯を夢見て

「一番搾りが冷蔵庫から消えて半年か」。晩酌よりも寝酒派の私は、仕事終わりの深夜に疲れた頭をビールでクールダウンさせる。そんな癒やしの友の座が、発泡酒に奪われたのだ。理由は痛いほどよく分かっているけど、わが家の財務大臣の決定には逆らえない。はじめは抵抗感があった発泡酒の味にもだんだん慣れてきた今日このごろ。しかし!私は旧友に再会してしまった…。

 今回の目的は神奈川県の生麦にあるキリンビール横浜工場。まずは菊名駅に集合し、五㌔ほど歩いてから工場を見学するルートだ。集合場所に着くと見知った顔が…。このコーナーの鬼編集者オニタ氏(仮名)である。出来の悪い原稿には容赦ないダメ出しを突きつける。「長い」「具体的に」「写真がねえ」と何度泣かされたことか。今まで誘っても来なかったのに、ビールの誘惑に重い腰を上げたようだ。なんて現金な人だ。せっかくだからカメラマンに任命しちゃおう。いい写真、頼みますよ。

 通常の例会は要所要所に見どころがあるのだが、今回は単調な舗装道路が続く。暑さがぶり返したこの日。照りつける太陽の下、オニタ氏やウマ村事務局長を「ビールまであと○㌔」と励ましながら歩く。Tシャツが汗でぐっしょりになったころ、工場に到着した。

 正直、目的の九割五分は見学後の試飲だったが、約一時間の工場見学がめっぽう楽しい。麦汁を作る過程の映像を釜にプロジェクションマッピングで投映しながら解説したり、発酵の過程にかわいらしいキャラのCGを使ったり、最新テクノロジーを駆使して飽きさせない。ガイドの女性もすてきな方。「リピーターもいらっしゃいますよ」と屈託なく答えてくれるので、いろんな質問をしたくなる。

 「一番搾りとはいかなるもの?」という疑問は、二番搾り麦汁と飲み比べてみて解消した。麦の風味が豊かで甘い。どこか懐かしい味だと思ったら、子供のころに大好きだった水あめの味だ。なぜこの味に惹かれるのか分かった気がする。

 見学を終えると、お待ちかねの試飲タイム。一番搾りと黒、贈答用のプレミアムの三種類を飲むことができる。しかもグラスは普通の居酒屋サイズ。これで無料ってキリンさんどれだけ大盤振る舞いするんだよ、とあきれてしまう。二十分でグラスを三つ空け、やっぱり「友」とは離れられないなぁと思うのだった。

今回9824歩 距離約6km

(まいた・ようへい=芸能ライター)