いざ、関ヶ原!(後編)

 戦に大切なのは兵糧だということは分かっていた。歩いている途中にコンビニでも寄って調達しようと考えていたのだが、まさかルート上にコンビニが一軒もないとは思ってもみなかった!

 「関ヶ原陣跡制覇ウォーキング」の後半戦。朝八時半にスタートしてから二時間半が経過。途中、福島正則陣跡でドリンクとバナナの支給があったのは助かったが、バナナ一本八十六㌔㌍でこれから歩く距離は十数㌔。果たして持つのだろうか。不安を抱えたまま、小早川秀秋陣跡の松尾山へと入っていく。

 なだらかな砂利道の斜面が続く。山とはいえ陣を構えていた場所だ。それほどハードな道のりではないだろうと軽く考えていたら…甘かった。木道に変わると景色が一変し、急な斜面が容赦なく続く。やすやすと敵が侵入できない場所だからこそ山城を築いたのだと気づくもあとの祭りだ。

 止まりそうになる足を懸命に動かし、青息吐息でどうにか陣跡にたどり着く。時間にすれば三十分弱だったが体感的には数時間登り続けていた気分。周りを見渡せば、みな心地よい疲労感をにじませながらおいしそうに弁当をほおばっている。

 しかし、私たちには兵糧がない。ドッと疲れが肩にのしかかる。十分に休憩し、そろそろ山を下りなければと思うのだが、体が言うことを聞かない。小早川秀秋がここで傍観し続けたのは、険しい山を下りるのが億劫だったからではないか…そんな気までしてきた。

 重い腰を上げ、山道を下りていくと見覚えのある赤い陣羽織が…。思わず「殿!」と声を上げる。小早川秀秋氏(役のボランティアさん)から「ご苦労」とお声掛けいただき、ようやく後半戦への元気が出てきた。

 彼岸花、黄色いコスモス…道に沿って咲く色とりどりの花が目を楽しませてくれる。大谷吉継の陣跡から藤古川ダムと眺望のいい場所が続く。そして、午後二時、「決戦地」と記された大きな幟が見えてきた。「ゴールだ!」と思いきや、最後の石田三成陣跡はここではなく、聞けば笹尾山の上にあるそうだ。また山!?…と崩れ落ちる。

 もっとも標高二〇〇㍍の小さな山だったので、十分後にはどうにかこうにかゴール!踏破にかかった六時間は大体関ヶ原の戦いと同じ。陣地の距離感も体感し、歴史の一場面がグッとリアルなものとなった。

今回2万2226歩 距離約14km

(まいた・ようへい=芸能ライター)