日本銀行&迎賓館(後編)

 日本銀行を出て、お茶をしていたウマ村さんと合流。迎賓館を目指して内堀通りを歩いていく。皇居外周は人気のランニングコースとあって前方から次々とランナーたちが駆けてくるのだが、そのスピードが半端じゃない。近所の公園を走っている人たちとは顔つきが違う。おっかなびっくりすれ違いながら歩を進める。やがて立派な門が見えてきた。

 迎賓館の一般公開が始まったのは二○一六年から。外国人に向けての観光振興策の一環だそうだが、絶対に日本人の方が楽しめる気がする。というのも外観は華やかなネオバロック様式だし、内部もバッキンガム宮殿やベルサイユ宮殿もかくやという装飾で、西洋の宮殿気分が味わえるのだ。

 当たり前だが日本の城とはまるで違い、その印象をひと言で表現するなら「豪華絢爛華美荘厳」。部屋ごとに装飾様式も異なり、それに合わせた調度や美術品で彩られているから、欧州の宮殿を歴訪している感覚になる。赤坂なのに!

 しかも、一見すればヨーロッパな空間の細部に目を凝らせばそこかしこに和のモチーフが点在している(大図解で勉強しました!)。首脳会談などに使われる朝日の間の天井画で描かれている暁の女神はなるほど東洋的な顔つきの美女だし、晩さん会が行われる花鳥 の間の壁面は花鳥を描いた日本画の七宝焼で飾られている。成り金趣味とは対極にある計算し尽くされ調和のとれた和洋折衷の世界がここにはあり、唯一無二の建物といわれるのも納得だ。

 一方、和風別館の「游心亭」は、日本ならではの美に満ちたおもてなしの空間。ニシキゴイの泳ぐ池に和風庭園、畳敷きの大広間。寿司や天ぷらが楽しめるカウンター式の食堂に茶室…と和の文化を堪能できる。外国の賓客にとってはこちらの方が喜ばれそう。

 見学中は常に係員が寄り添っている。一瞬壁に背をつけたら丁寧な言葉で注意された。やんわりとだがその目は笑っておらず、「何しやがるんだ、この野郎」と怒鳴られた気分だった。迎賓館自体が一つの芸術作品のようなものなのだ。

 もともと東宮御所として建てられたが、大正天皇も昭和天皇も「暮らしづらいわ」と長く住むことはなかった。確かに美しいけれど、人が暮らす建物ではないなと天皇陛下に共感を覚えるのだった。

今回1万1910歩 距離約7.5km

(まいた・ようへい=芸能ライター)