常春の渥美半島編

 ここ一カ月あまり都内近郊や社会見学ばかりでウオーキングの醍醐味を味わっていない気がするし、体もなまる。そろそろ次の遠征を…と編集長のオニ田氏におそるおそる打診したところ、意外にあっさりとOKが出た。どうした、オニ田さん? 最近やけに優しいぞ。オニの気が変わらぬうちに…とさっそくウマ村氏とプランを立て、中部遠征に旅立った。

 初日に訪れたのは愛知県の渥美半島。「常春」と呼ばれる地で、ひと足早く春の海を満喫しようとバスを降りる。

 だだっぴろい砂浜の左手に穏やかな太平洋が広がっている。潮の香りもほとんどなく、まさにのたりのたりと波が揺れている。風が強く気温も低くてかなり寒いのだが、降りそそぐ日差しのやわらかさと優しげな潮騒の音色で気持ちが春へと誘われる。なるほど、ここは常春だ。

 そして、春を招くものがもう一つ。行きのバスの中で若いカップルが「菜の花まつり」と記されたパンフレットを広げていた。海岸からほど近いところに「伊良湖菜の花ガーデン」なる場所があって、今まさに菜の花が満開らしいのだ。想定していたコースからは少し外れるが、これは行くしかないでしょ。

 ガーデンに足を踏み入れた瞬間、目の前に広がるのは黄色の世界。想像をはるかに超える色彩の鮮やかさに、思わず「スゴいな…」と声がもれる。正直、今まであまり菜の花に「花」としての美を感じたことがなく、どちらかというと「草」や「野菜」というイメージのほうが強かったのだが、ここまで「花」としてのポテンシャルがあったのかと驚いた。花の黄色と葉の緑のコントラストがとにかく映える。

 誰もいない砂浜をのんびり歩き、そして一面の菜の花畑に気分は浮き立つ。この先には「恋人の聖地」にも選ばれた美しいビーチ恋路ヶ浜があり、さらにその先に波打ち際に立つ白亜の塔、伊良湖岬灯台もあるのだ。ロマンにあふれた春の渥美半島は、デートにはうってつけのコースだねとうなずき合うのは五十すぎのおっさん二人…ちょっと悲しくなってきた。

 さて、ウオーキング再開。だが、コースを外れたため海岸へと下りられなくなってしまった。菜の花ガーデンを堪能しすぎて、フェリーの出発時間も迫っている。恋路ヶ浜と伊良湖岬灯台は断念しようかと提案すると、なぜかウマ村さんが激しく残念がる。まさか…おっさんずラブ⁉

今回1万1096歩 距離約7km

(まいた・ようへい=芸能ライター)