伊勢神宮・外宮編

 中部遠征初日の旅は続く。フェリーに飛び乗り、着いた鳥羽から向かったのは三重県伊勢市。目的地は、神社オブ神社。日本のすべての神社とは別格の存在の伊勢神宮である。「一生に一度はお伊勢さんへ」と江戸時代から人々が憧れ続けてきた神社とは一体どんなところなのだろう…ぼんやりとした想像はいい意味で裏切られるのだった。

 伊勢神宮には太陽神の天照大神を祀る内宮と、衣食住の神・豊受大神を祀る外宮という二つの正宮がある。外宮から内宮という順番で回るのが習わしということで、まずは外宮へ。

 伊勢市駅から五分ほど歩いたところに外宮への入り口、火除橋がある。木造の小さな橋のたもとには「左側通行」の木札が立っており、参拝客の列はそこからきれいに左右に分かれていく。シンプルな鳥居をくぐると木立の中に玉砂利を敷いた参道が延びている。

 ふと気づくと世界が変わっている。まるで水墨画の中に迷い込んだかのような…モノトーンの静謐な空気に包まれ、自然と身が引き締まる。これぞ、ザ・パワースポット。分かりやすいぐらいにほかのどんな神社とも雰囲気が、世界が違う。

 参道を進み正殿へと向かう。神明造(高床式倉庫から発展した建築様式。伊勢神宮正殿と同じものを建てるのは禁じられているので、唯一神明造と呼ばれる)の社殿は四重の垣の奥にたたずみ、その全貌はうかがえない。もちろん、撮影も禁止。

 伊勢神宮の正宮では願いごとも賽銭も禁じられている。ここは神に感謝を述べる場所で、個人的な願いごとをする場所ではないのだ。とはいえ、神に手を合わせれば願いが思い浮かぶのは人間の哀しい性。めちゃくちゃ願いごとをしたあとでハッと思い出し、「ごめんなさい」と頭を下げる。ちなみに伊勢神宮にはおみくじもない。参拝するだけで大吉だから必要ないのだそうだが、伊勢神宮で凶が出たら洒落にならないからではないかとも思う。

 願いごとを許されている三つの別宮をお参りし、最後に資料館「せんぐう館」を見学。ここには原寸大の正殿模型が飾られており、ようやく唯一神明造の全貌を知ることができた。参拝を終え、整った心に満足しつつ、微妙な違和感にもやもやする。さて、違和感の正体はいかに?…次週、内宮編に続く!

今回5735歩 距離約3.5km

(まいた・ようへい=芸能ライター)