デート気分で歩く鎌倉 後編

 若手女優・木下彩音ちゃんとの鎌倉散策。小町通りを抜け、次に目指すのは鎌倉の大仏。「初めてだから楽しみ!」と軽やかに歩き出した彩音ちゃんだったが、大仏まで二㌔の看板を見て顔色が変わる。「結構ありますね…」

 私やウマ村さんには二㌔などあってないがごとしの距離なのだが、ウオーキング初心者の彼女にとっては二㌔歩くというのは非日常の出来事なのだ。宣伝部のキダ氏も「僕、実はもう脚にきてます」と弱音を漏らしはじめる。君たち二十代だろ?

 内心ツッコみながら、同時にウオーキングを始めたばかりの頃の自分が彼女らに重なった。一年ちょっとでずいぶんと変わるものだなと感慨もひとしお。まさに「継続は力なり」だ。

 「今、HP(体力)30%です」と彼女が告げたとき、ついに大仏さまのおわす高徳院に到着した。「大きい~」とまんまるな瞳が輝き、彩音ちゃんのHPも回復。「二十円払えば大仏の中に入れるよ」と教えてあげるとうれしそうにうなずいた。

 大仏の背中に開いた窓から光が差し、中はそれほど暗くはない。彩音ちゃんは恐る恐る青銅の体に手を当て、「温かい」と目を見開く。「なんか血が通ってるみたい」。たしかに大仏の脈動めいたものを感じるから不思議だ。

 高徳院を出て、最後の目的地は江の島。江ノ電を利用して体力をチャージし、江ノ島駅に到着。弁天橋から島へと渡るわれわれを祝福するかのような美しい富士山も見える。仲見世通りの階段を上って、江島神社へ。彩音ちゃんは参拝もそこそこにおみくじの箱に手を入れる。さあ、三度目の正直か、二度あることは三度あるか…。

 結果は小吉! 微妙ではあるが、どうにか凶の連鎖からは逃れ、安堵の笑みが浮かぶ。やや軽くなった足どりで島の奥ある「恋人の丘」へ。仲むつまじげなカップルのあと彩音ちゃんが鳴らした鐘は、「カーン!」とやけに大きな音を立て、夕暮れの江の島の空気を震わせた。

 「これ、一人で鳴らすものじゃないですよね。なんか寂しくなってきました」

 初のウオーキングは最終的に一万九千歩を超え、その数字に驚く彩音ちゃん。「自分がこんなに歩けるなんてびっくり。風景が変わっていくからそれほど距離も感じず、楽しく歩けました。でも今、太ももがピクピクしてます(笑)」

今回1万5595歩 距離約10km

(まいた・ようへい=芸能ライター)