小平グリーンロードの桜編

 この春、東京は例年より十日ほど早く桜が見頃を迎えた。桜並木をのんびりと歩き、贅沢な時間が味わえるウオーキングを大久保貴リーダーが提案してくれた。小平駅から小金井公園へと続く緑道を歩くルートだ。

 その緑道の名は「小平グリーンロード」。東京都小平市を一周する二十㌔ほどの散歩道で、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」にも認定されており、ウオーキングも盛んに行われているという。

 小平駅を出て、うららかな春の日差しの中を真っすぐ延びる道へと足を踏み出す。道沿いに並んだ桜の木々は間隔が広く、ほかの名所のように桜色の世界に包まれる圧倒感はないが、その分一本一本をゆっくりと楽しむことができる。

 しかも、どの木も普通の桜の倍くらいの高さがある。桜の枝といえば横に広がっているものだとばかり思っていたが、ここの桜は青い空に向かって伸びていっているのだ。「こんな桜は初めて見た」とウマ村さんと盛り上がる。

 途中、江戸後期の農家を今に残す「小平ふるさと村」に寄り道すると、小学生の女の子たちが輪投げをしている。ベーゴマやけん玉、竹馬など昔なつかしい遊び道具が無造作に置かれ、誰でも遊べるようになっているのだ。農家の中でもくつろげるようになっていて、こういう遊び場が近所にあると親としてはかなりうれしい。

 一時間ほど歩いて都立小金井公園に到着。広々とした芝生を突っ切り、開放感に浸りながら奥へと進んでいくと、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。しかも、めっちゃいる! さまざまな遊具に群がり、人工芝のスライダーをソリで滑っていく小学生たち。その隣の広場では中高生たちがスケートボードに興じている。たとえ学校に行けなくても、ここに来れば友達と会えるというわけか。

 公園の桜は今が盛りと美しく色づいているが、それを楽しむ人はほとんどいない。本来なら人でごった返しているであろう広大な敷地に、桜だけが咲き乱れている。これはこれで贅沢な花見だな…と思いつつも、無性に寂しくなってくる-。

 …と、これは三月の三連休直後の話。三月末日、近所の桜並木はまだ美しいが、マスク姿の人々はそれに目を留めることもなく足早に通りすぎていく。

 願わくば、今このエッセーを読んでくださっている方々に、花を愛でる心の余裕が戻っていますように…。

今回1万2055歩 距離約7.5km

(まいた・ようへい=芸能ライター)