第4回「紅葉を魅力的に撮る」

早朝の最低気温が七度くらいになると、紅葉が始まります。葉に太陽光がよく当たり、昼と夜の寒暖差が大きくなり、適度な湿気が保たれると、色づきも鮮やかになります。乾燥しすぎると、葉が紅葉する前に枯れてしまいますので、渓谷や川沿い、霧の発生する山間部に紅葉の名所が多くなります。ウォーキングコースに高低差があれば、高度の違いでさまざまな色変化を味わうことができます。美しさに感動をしたら、カメラでさらに「感動発見!」をしてみましょう。

①魅力的な被写体とともに

作例A

世界遺産の富士山は、ますます多くの人を魅了します。湖岸にイロハモミジをはじめ、秋色に輝く木々が富士山とのツーショットを待っています。作例Aは、精進湖畔の真っ赤に染まったイロハモミジが、雪をいただいた子抱き富士とともに、真昼間の明るい光の中で輝いています。コンパクトデジカメは、手前から遠くまでピントがよく合いますので、この場面は素直に撮れば美しく写ります。デジタル一眼カメラの場合は、絞りを絞ることによって、被写界深度を深くすることができます。

②霧の中はムード満点

作例B

山行では、よく霧に出合います。遠くが見えなくてつまらないと思わないでください。見上げてみたらいかがですか? 作例Bをご覧ください。紅葉の木の下から真上を見上げると、他の木のシルエットが濃淡を見せて、墨絵のような場面です。背景が明るいと、カメラが「明る過ぎる」と判断して、紅葉が暗く濁って写りますので、プラス補正をすることで、美しい赤味を再現することができます。

③太陽を画面内に

作例C

作例D

夕陽が射し込んで、発色がより赤い紅葉の林の中にいます。カメラを向けてそのまま撮ると、太陽光が強すぎて、全体が暗く写りました(作例C)。ここでもプラス補正をすることによって、赤い葉を再現し、さらに太陽の光こう芒ぼうまで美しく表現することができました(作例D)。太陽を直接見ることは極力避けて、太陽の位置を枝などの陰で隠して、シャッターを押す時だけ位置を少し変えて撮影すると安心です。

④クローズアップの世界

作例E

ご自分のカメラがどこまで近づいて撮れるか、知っておくと便利です。けっこう近づいて撮ることができるカメラなら、作例Eのように、葉の中にある葉脈模様や色の変化もとらえることができます。太陽光を透かして撮影したり、影を重ねて構成したりすると、よりフォトジェニックな仕上がりになります。

いろはにほってきそうですね。

写真の豆知識 シャッター優先・絞り優先

デジタルカメラには、シーンモードやプログラムモードのほかに、シャッター優先モードや絞り優先モードが用意されています。自分の表現したい考えで撮影できます。
1.シャッター優先……運動会で速く走る人をぶれないで撮るには速いシャッタースピードを使います。滝や渓流を撮るときに、水が美しく流れたように表現したい時は、ゆっくりのシャッタースピードです。シャッタースピードを決めれば、カメラが絞り値を決めてくれます。
2.絞り優先……お花畑を手前から無限遠まで、ピントが合ったように撮影する場合、絞り込みます(F値を大きい数字にします)。この逆の場合は、前後にぼけを出すことができるので、人物の背景をぼかして人物を浮かび上がらせたり、主題を引き立たせたりする効果があります。

著者プロフィール
光川十洋(みつかわとうよう)
日本大学芸術学部写真学科を卒業し、学研で編集・創作分野を歴任。クラブツーリズムやカルチャーセンターなどで写真講座やバス撮影ツアーの講師を。本誌『アルク』表紙や『週刊女性』『獣医畜産新報(JVM)』など連載中。