編集部チョイス「おすすめの1曲」

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12月

ルドルフと一緒のクリスマス

もうすぐクリスマス!みなさんの中にも、お子さんや生徒さんとのクリスマスパーティーを企画中という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。クリスマス音楽について調査をしてみると、その歴史はやはりヨーロッパから。しかし、“子どもたちに親しみのあるクリスマス音楽”ということになると、忘れてはならないのがアメリカです。子どもたちの心をつかむエンターテインメントや音楽、映像作品を数多く生み出し、その独自の世界観で大人までをも魅了する作品を世界中に送り出しています。そこで今回は、そんなアメリカで生まれた、みなさんにも馴染みのあるあの一曲、〈赤鼻のトナカイ〉に注目してみようと思います。

誰もが一度は歌ったことのある〈赤鼻のトナカイ〉。この曲はある物語をもとに作られた音楽でした。今から遡ること約70年。通販会社であるモンゴメリー・ワード社の経営幹部として働いていたウィリアム・サーロフは、1939年に同社でコピーライターをしているロバート・メイが作った『赤鼻のトナカイ、ルドルフ』(『Rudolph the Red-Nosed Reindeer』)という物語に出会いました。

「クリスマスタウンに生まれた、トナカイのルドルフ。しかしルドルフの鼻は他のトナカイと違い、ピカピカと光る赤い鼻でした。この赤い鼻のせいで、ルドルフは周りのトナカイから仲間はずれに。しかし、冒険家のユーコンやおもちゃ作りの妖精ハーミーに出会い、友情を育んでいきます。そして訪れたクリスマスイブはなんと嵐。サンタはクリスマスを中止にしようとしましたが、ルドルフのピカピカと光る赤い鼻で夜道を照らすことを思いつきます。ひときわ輝くルドルフの鼻のおかげで、サンタは無事にプレゼントを配ることができたのでした。」

この主人公ルドルフをすぐに気に入ったサーロフは、1939年から1946年のクリスマスシーズンに配布していた無料カタログのキャラクターに、ルドルフを起用します。その頃、ジョニー・マークスによって『赤鼻のトナカイ、ルドルフ』の物語を元に楽曲が制作されました。これが私たちのよく知る〈赤鼻のトナカイ〉です。
 1964年、サーロフが新しく勤務していたゼネラル・エレクトリック(GE)とアメリカの3大ネットワークの一つであるテレビ局、NBCのために特別番組『ルドルフ』(パペット・アニメ)が制作され、ルドルフはアメリカ全土、そして世界に一気に知れ渡ります。ジョニー・マークスによって作曲された〈赤鼻のトナカイ〉はこの番組内でも使用されました。1964年に初めてこの作品が放送されて以来、アメリカでは毎年放送され続け、やがて世界中の人々に愛されるようになります。こうして〈赤鼻のトナカイ〉はクリスマス音楽の定番曲として定着したのです。

そんな『ルドルフ』で使用される楽曲は、<赤鼻のトナカイ>に限らずすべての曲がクリスマス一色。それらすべての楽曲のオーケストラアレンジと総指揮を務めたのはモーリー・ローズという作曲家です。その音色はまさに、心踊るクリスマス。もちろん日本でもDVDが発売されています。アニメに使われているパペットは、日本人の手によって作られたそうです。そんな日本のクリエイターたちも尽力し、制作された『ルドルフ』。クリスマス会のお楽しみDVDやBGMとしておすすめの作品です!!(め)

ルドルフ 赤鼻のトナカイ【絵本付きDVD】 東北新社 2009年発売
参考文献:Picture Friends 005「ルドルフ ~赤鼻のトナカイ~」(プチグラパブリッシング)
参考Webサイト:GEホームページ 「世界からお届けするGE」

11月

究極の名盤を聴く(3) シューマンの「子供の情景」

究極の名盤ガイド『クラシックCDエッセンシャル・ガイド150』をもとに、歴史に残るピアノ曲の名盤の数々をご紹介するコーナーです。今回はシューマンの「子供の情景」です。作曲されたのは1838年。子供の憧れと夢に思いをめぐらせた13曲で構成されています。13曲通して聴くことをおすすめします!

名盤BEST 5
  • 1. ヴラディーミル・ホロヴィッツ[ソニーミュージック/SICC1028](1962年)
  • 2. マルタ・アルゲリッチ[ユニバーサルミュージック/UCCG50096] (1983年)
  • 3. アルフレッド・コルトー[Warner Limited Box /7049072(40枚組)] (1935年)(輸)
  • 4. サンソン・フランソワ[セラフィム/TOCE8949](1967年)(廃)
  • 4. ミエチスラフ・ホルショフスキ[ノンサッチ/WPCC4908](1988年)(廃)
  • 4. ラドゥ・ルプー[DECCA/440496](1993年)(輸)
  • 7. マリア・ジョアン・ピリス[ワーナーミュージック/WPCS22214](1984年)
  • (輸)=輸入盤 (廃)=廃盤
   
ヴラディーミル・ホロヴィッツ
Vladimir HOROWITZ [1904-89(ロシア→アメリカ)]
ホロヴィッツはこの曲を4回録音していますが、この1962年の演奏はあらゆる面で最も充実した演奏といわれています。磨き抜かれた技巧と、ホロヴィッツならではの多彩で豊かな響きによって、無垢な子供の思いと夢が綴られる、まさにピアノ演奏の極致といいたいほどの美しさに満ちています。
マルタ・アルゲリッチ
Martha ARGERICH [1941- (アルゼンチン)]
アルゲリッチのシューマンは、たおやかなシューマンではなく、筋肉質の、がっちり組みあげられた演奏といえるでしょう。テンポやダイナミクスを適切にコントロールしながら、“動的”な再現をしています。楽想やフレーズに柔軟に対応しながら、自発的に、即興的に夢が紡がれていきます。
アルフレッド・コルトー
Alfred CORTOT [1877-1962 (スイス)]
シューマンはコルトーの十八番のひとつでした。詩的で夢想的な大人のメルヘンともいえるこの曲を、彼特有の甘美でロマンティックな演奏で――少し大時代的ともいえますが――、作品の本質をとらえ幻想の世界を見事に表現しています。歴史的名演であり、未だに色あせることがありません。

10月

時代を知る(5) ヴェルディ

2013年はドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナー、そしてイタリアの作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの生誕200年です。かたや「楽劇王」、かたや「歌劇王」と呼ばれるオペラの大作曲家として有名ですね。5月号の『時代を知る』ではワーグナーをご紹介しましたので、今回はヴェルディの生涯と当時のイタリアについて見てみましょう。「イタリアの父」と呼ばれるほど、イタリアの音楽界に大きな影響をもたらしたヴェルディ。彼の音楽活動の背景には、どのようなできごとがあったのでしょうか?

9月

名器との出逢い

突然ですが、読者のみなさまは何か楽器を演奏されますか?楽器にもアコースティック、LM、弦楽器、管楽器、打楽器etc...、いろいろありますが、どんな楽器であれ、「そのとき演奏する楽器」とは一期一会と言いますか、やはり“出逢い”のご縁があっての“演奏”、そして“音楽”があると思うのです。

ちなみに今月のコーナー担当、私(か)はピアノを弾きますが、今自宅にあるのは、マホガニーのボディに黒いズン胴の脚、上面が貼り替えられ側面だけ象牙の鍵盤…という良くも悪くもハイブリッドな、おそらくとんでもなくご老体のYAMAHAのG2というグランドピアノです。30年以上も一緒ですから弾き心地がまるで家族のようです。詳しくは知りませんが、もしかすると100年近い歳月を過ごしているかもしれないこのピアノ。中古というとあまり聞こえは良くないですが、特に楽器については、年を経てこそ出せる音が魅力的!と個人的には思っています。

さて、アマチュア中のアマチュアの私ですらこうして楽器へそれなりの愛着を持っているわけですから、プロの方々は当然、と思いますが、作曲家にも楽器への強い愛着心があったのだろうなぁ…と改めて思ったのが、久元祐子先生のコンサート「名曲であじわう世界3大ピアノの響き」。5月18日と少し前のことになりますが、東京・武蔵小金井の宮地楽器で開催されたこの演奏会、会場に入ると客席にピアノ、ステージに客席、と位置関係が逆転している異空間に、憧れの名器「スタインウェイ」「ベーゼンドルファー」そして「ベヒシュタイン」のグランドピアノが整然と並ぶ姿に圧倒されます。

別の、5台の楽器を一晩で弾くプログラムに取り組まれるときには「一晩にそれぞれ違う相手と5回結婚式を挙げるよう」と、そのご苦労を語られていた久元先生のご腐心もあって、それぞれのピアノたちの際立つ個性にびっくり!だいたい、この3種類のピアノたちが同じスペースに在る、という機会ですらそうは無いのに、1回の演奏会で聴き比べることが出来る…とは何という贅沢!!

楽器それぞれの個性に魅了された作曲家たち、そしてそこから生まれた作品。作曲家たちが強烈な個性を放つその根幹に、彼らの愛器の個性もまた関わっているのではないか…と体感出来るひと時でした。
アンコールは、モーツァルトの〈トルコ行進曲〉を、フレーズごとに3台で弾く、というユニークなもの。まるで小鳥のように忙しく3台を行き来する先生を眺めながら、華やかなスタインウェイ、まろやかなベーゼンドルファー、実直なベヒシュタインの個性を満喫。夢のような時間を過ごしたあとの現実は、あの3台には一桁も二桁も足りない預金通帳を見て涙していたりするわけですが、それでも、かけがえのない時間を過ごすことが出来たのは幸せでした♪(か)

Program
  • 【ベヒシュタイン】
  • グリーグ〈アリエッタ〉
  • シューマン〈愛しい五月、お前はまたやってきた〉〈トロイメライ〉
  • ドビュッシー〈月の光〉/ リスト〈愛の夢 第3番〉
  • 【スタインウェイ】
  • ベートーヴェン 〈ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ長調 Op.78 “テレーゼ”〉
  • 【ベーゼンドルファー】
  • W.A.モーツァルト〈幻想曲 K.397(久元祐子:補筆)〉
  • シューベルト〈即興曲 変ホ長調 Op.90-2〉
  • ショパン(リストによる編曲)〈私のいとしい人〉
  • シューマン(リストによる編曲)〈献呈〉

8月

時代を知る 〜番外編〜ピアノ名曲の歴史

今回は、『時代を知る!』の番外編と題し、数々のピアノ名曲が誕生したバロックから近現代までの約250年間で、編集部が独断と偏見(!?)で選んだ30曲が誕生した年に注目してみました。お好きな曲はありましたか?これを機会に、詳しく調べて知識を深めていただくのもステキですね!

7月

またまた定番教本ルネッサンス!? 〜ディスカバリー「バイエル」〜

4月号で、いわゆる“定番”と呼ばれる曲集が再び脚光を浴びる“ルネッサンス”の動きが近頃あるように思います、というお話をさせていただきましたが、このときは《練習曲集》ということで、「チェルニー」「ブルクミュラー」「ハノン」という、定番の練習曲集で名高い3人の作曲家に注目しました。今回は7月、奇しくもピアノの教本(教則本)の王道、ザ・定番!『バイエル教則本』の作者フェルディナント・バイエルの誕生月(7月25日)ですので、「バイエル」と『バイエル教則本』にスポット・ライトを当ててみたいと思います!

フェルディナンド・バイエル(1806−1853)
—— 実像はかなりのマイホーム・パパ!? 家庭と家族を愛した庶民派の音楽家

実は、音楽事典などには「フェルディナント・バイエル」という音楽家について、細かい記述がほとんどありません。項目そのものも無かったりして…。ヒドイ。

ですが、2012年、安田寛氏による『バイエルの謎』(音楽之友社刊)が発刊されたことで、これまで残念ながらあまり関心を寄せられていなかった「バイエル」氏について、驚くほど詳しいことを知ることができるようになりました。ぜひ読者の皆様にもお読みいただきたいのですが、その飽くなき探究心と緻密な研究はまさしく脱帽モノ! 「バイエル」をつつむヴェールが一枚ずつはがされていく様子は圧巻です。

この本によると、フルネームはアウグスト・フェルディナント・バイエル。長く1803年の生まれ、とされてきましたが、安田氏の研究により洗礼記録や戸籍簿から1806年ということが判明しました。優秀なオルガニストだったそうで、ドイツのショット(Schott)社から楽譜を多数出版した作・編曲家でもあります。その多作ゆえに、芸術家としての評価は分かれるところですが、出版点数の多さが、彼の手による楽譜は演奏しやすく人気もあった、ということを物語っています。

おなじみの、106曲からなる『教則本』の初版時のタイトルは

『フェルディナント・バイエル 作品101 母たちに捧げる最も幼い生徒のためのピアノ入門書。
内容:楽典と106の手本、練習曲、訓練、音階、そして小曲。付録:大好きな旋律による楽しい100曲。』

と、“母と子”を強く意識したものだったのです。…ということは、あの連弾の練習曲は「お母さんと子どもが仲良くピアノの前で一緒に演奏する」のがバイエルの理想なんですね! 安田氏の調査によると、バイエルの母はカントル(プロテスタント教会のオルガニスト・楽師長)の家庭に育ち、それなりの音楽的な教育を受けた女性だったそうです。そしてバイエルは、仕立職人(マイスター)を父にもつという庶民的な家庭で、音楽的な素養に溢れる母の手ほどきを受け、カントルとなるべくさらに専門的な研鑽を積んだのだそうです。
この教則本で、バイエルは自らの原点「家庭での音楽教育」=「愛情あふれる家庭での音楽の記憶」をあらわしたのかもしれません。

このことを知って、あらためて楽譜を開いてみると、そこかしこから、匂い立つような家庭のぬ
くもりや家族の愛情が感じられるようです。
『バイエル教則本』にはそんな曲がいっぱいだとは思いませんか? (か)

〈出典〉『バイエルの謎』(安田寛/音楽之友社)

6月

編集部調査!ピアノ発表会で人気曲!おすすめの曲!

全国のピアノの発表会を調査し、よく選ばれる大人気の名曲をランキング形式にしました。
選曲の際、ご参考になれば嬉しいです♪

発表会で大人気! ♪名曲 よく弾かれるBEST10♪
  • 1位 エリーゼのために(ベートーヴェン)
  • 2位 小犬のワルツ(ショパン)
  • 3位 人形の夢と目覚め*(エステン)
  • 4位 メヌエット ト長調 BWV Anh.114*(ペッツォールト/伝J.S.バッハ)
  • 5位 紡ぎ歌*(エルメンライヒ)
  • 7位 樅の木*(シベリウス)
  • 8位 華麗なる大円舞曲(ショパン)
  • 9位 トルコ行進曲(ベートーヴェン)
  • 10位 バラード 第1番(ショパン)
  • 11位〜20位
    アラベスク 第1番*(ドビュッシー)/雨だれの前奏曲(ショパン)/幻想即興曲(ショパン)/月の光(ドビュッシー)/はじめての舞踏会(ストリーボック)/花の歌(ランゲ)/メロディー*(シューマン)/アラベスク(ブルクミュラー)/乙女の祈り(バダジェフスカ)/カノン(パッヘルベル)

やはり、不動の人気を誇る〈エリーゼのために〉。ドラマティックに展開される小ロンド形式、そして美しい旋律…まさに憧れですよね!
ある先生が、生徒さんに「発表会でどんな曲が弾きたい?」と尋ねたところ、何人も「“エリーゼ”が弾きたい!」と熱望し困ってしまった…という話も聞きました。さすが大人気の名曲!
そこで、編集部がおすすめする同レベル程度の名曲をご紹介いたします!

編集部おすすめ!!〈エリーゼのために〉と同レベル程度の名曲♪
  • 紡ぎ歌*(エルメンライヒ)
  • 人形の夢と目覚め*(エステン)
  • かっこう*(ダカン)
  • *(W.F.バッハ)
  • ソナチネOp.13 No.1(カバレフスキー)
  • 森のざわめき(ギロック)
  • 真夜中の火祭(平吉毅州)

はじめての発表会にぴったり! 『ちいさな おんがくかい
ピアノを習いはじめて間もない生徒さんの発表会におすすめです! 生徒パートは単純な繰り返し演奏。先生パートの多彩な音色やリズムを持った伴奏と合わせると、“単純な繰り返し”がすてきな曲になります。先生と一緒に連弾をすることで、たくさんの演奏のヒントを得ることができるようですよ♪

編集スタッフの超!個人的なおすすめ曲
〜今、発表会に出演するなら…この曲にチャレンジしたい!〜

銀波(ワイマン)(く)/ソナチネ 第2,3楽章(ラヴェル)(か)/波のアラベスク*(三善晃)(いも)/過去形のロマンス(吉松隆)(の)/平均率クラヴィーア曲集(J.S.バッハ)(め)/空気の妖精(ブルクミュラー)(な)

*4期のピアノ名曲集』全4巻〔学研パブリッシング 刊〕収載。一部試聴できます♪ 

5月

時代を知る(4) ワーグナー

2013年はオペラ作曲家の巨匠、リヒャルト・ワーグナーとジュゼッペ・ヴェルディの生誕200年! この2大作曲家を祝う、アニバーサリー・コンサートが世界各地で開催されます。日本でも、多くのコンサートが予定されていますので、是非チェックしてみてくださいね。
第4回目の『時代を知る』は、ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーの生きた時代を見てみましょう。ロマン派歌劇の従来の概念を打ち破り、新しい音楽劇を創造したワーグナー。 それにはどのような背景があったのでしょうか?

「年表」で時代を俯瞰した後、気になる「キーワード(=様々な視点)」を調べてみましょう♪

【キーワード】
ドイツ国民オペラの金字塔/オペラ・コミーク/ゼンパー・オーパー/ドレスデン革命/総合芸術論/ノイシュヴァンシュタイン城/バイロイト音楽祭/ライトモティーフ/亡命
【ワーグナーを取り巻く重要な人物】
ミンナ/ビューロー/ブラームス/コジマ/ハンスリック/ブルックナー/ヴェーゼンドンク夫妻/ニーチェ/リスト/イゾルデ/エーファ/ジークフリート/ベルリオーズ
【同時代にドイツで活躍した音楽家】
ベートーヴェン/マイヤベーア/チェルニー/ヴェルナー/ウェーバー/ブルクミュラー/メンデルスゾーン/シューマン/オッフェンバック/レーガー

4月

定番教本ルネッサンス!? 〜ディスカバリー「チェルニー・ブルクミュラー・ハノン」

2013年、ピアノ教育界ではちょっとしたメモリアル・イヤー・ラッシュです。日本ではザ・定番!今もなお根強い人気を誇る『バイエル・ピアノ教則本』のフェルディナンド・バイエルの没後150年、さらに中級の“練習曲集”といえば外せないカール・チェルニーの生誕222年でもあります。余談ですがチェルニーは猫好きだったそうですので、ニャンニャンニャン♪でさぞかし喜んでいることでしょう…。だからという訳ではもちろんありませんが、最近、『バイエル』をはじめ、『チェルニー』『ブルクミュラー』『ハノン』といった、いわゆる“定番”の練習曲集が再び注目を集めているように思えます。2013年1月号でも取り上げましたが、これらの教本が日本に入ってきて130年以上。以来脈々と使われ続けるこれらの教本たちの昨今感じられる“ルネッサンス”の動きは、安定感だけではない新たな魅力を再発見するチャンスかも!?
そこで!今回はこれら練習曲集の作者にスポット・ライトを当ててみたいと思います。

Carl Czerny(1791-1857)——ベートーヴェン愛!?古典とロマンの間で

“ツェルニー”と発音・表記されることも多いですが、ドイツ語の発音により近いのは“チェルニー”。綴りは「黒」という意味のチェコ語から来ているのだとか(祖先を遡ればボヘミア出身とも)。10歳の時にベートーヴェンにその才能を認められ、演奏家として弟子入りしました。ピアノ協奏曲第1番〈皇帝〉の初演を行ったのも彼です。ただ、チェルニー自身は演奏家としてよりもむしろ師・ベートーヴェンの「ピアノ演奏法」の理念を伝えることに情熱を傾け、膨大な『練習曲集』を作曲し、リストをはじめとする大家を教育したのです。彼の練習曲には、古典派の様式美のなかにロマン派の叙情性が感じられ、音楽史上の単なる“時代のつなぎ役”ではない、独自の足跡をくっきりと残しています。

Johann Friedrich Franz Burgmüller(1806-74)——「ノルベルトのお兄ちゃん」

“ブルクミュラー”といえば、デュッセルドルフ市音楽監督でもあった父親の“ヨハン・アウグスト・フランツ”と弟の“ノルベルト”が音楽史にその名を残す存在です。特にノルベルトは、かのシューマンもその才能を高く評価するピアニスト・作曲家で将来を嘱望されていたのですが、わずか26歳で夭折。親友のメンデルスゾーンが〈葬送行進曲 Op.103〉を書いてその死を悼むほどでした。そんな家族にあってヨハン・フリードリヒ・フランツはピアノ小品の作曲家、サロンのピアニストとして活動。音楽史上はともかくも、200年後の極東・日本の私たちにはなくてはならない、詩情豊かで愛らしい25曲と18曲から成る『練習曲集』を残しています。

Charles-Louis Hanon (1819-1900)——アッシュの憂鬱「だから発音、違うってば!」

テクニック教本といえば、私たち日本人は“ハノン”でなじんでいますが、フランス語は「H(アッシュ)」を発音しないので“アノン”と呼ぶのが実は正解。日本へ入ったときに「H」を発音するドイツ語や英語の楽譜で来てしまったが故の不運なのですが、もしかしたらお墓の下で(苦笑)なのかも…。彼の『60の練習曲による超絶技巧ピアニスト』は、それまでのテクニック教本の定石、クレメンティの『グラドゥス・アド・パルナッスム』(ドビュッシーがこの練習曲をつまらなさそうに弾く娘の様子をピアノ曲にしています)を超え、現在も広く「テクニック教本」として使われています。純粋にフィンガートレーニングを究めるための教本ですが、驚くほど実に合理的にさまざまなパターンが組み合わされていることにお気づきですか?

3月

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013 「熱狂の日」音楽祭へ行こう!!【パリ、至福の時】

今年のラ・フォル・ジュルネ「熱狂の日」のテーマは、【パリ、至福の時】。この「至福の時(L’heureexquise)」という言葉は、19世紀後半のパリを代表する詩人、ポール・ヴェルレーヌの詩「白い月」の最後のフレーズから引用されたものです。芸術監督のルネ・マルタン氏は、この言葉を引用することで、至福の時代——19世紀後半から現代まで、150年間のパリを彩った音楽を再現しようとしています。

至福の時代とは、どのような時代だったのでしょうか?19世紀から20世紀にかけて、パリは世界の芸術の首都として新たな時代を築きあげました。印象主義やスペイン・ブーム、アメリカからはジャズの流入…。さまざまなジャンルの芸術家が集い、交流をし、素晴らしい作品の数々が誕生しました。この頃のパリは、才能豊かな作曲家を多く輩出しただけではなく、ヨーロッパ中の作曲家たちの活動の拠点であったのです。

ところで、イメージ画はごらんになりましたか?気球で空中散歩を楽しむ乗組員はアルベニス、メシアン、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェル、サティ、ファリャ、プーランク…そして紅一点!1920年代にパリ芸術家たちのミューズ的存在であった、ピアニストのミシア・セールです。みな至福の時を堪能しているような、素敵なほほえみが印象的ですね。彼らの乗る気球は、パリ万国博覧会の象徴として、パリの空を飛行した気球です。気球からはパリの街並とエッフェル塔などが小さく見えます。…どうやら、どこかに向かっているようですね。そう!この気球の行き先は、日本の会場、東京国際フォーラム!

日本での開催は、今年で9回目。東京での来場者数はなんと延べ526万人だそうです!w今回はルネ・マルタン氏の母国であるフランスの作曲家、パリで活躍したスペインの作曲家たちが紹介されるということで、さらに充実したコンサートになりそうですね。日本ではこれまでにない最大規模のフランス音楽の祭典になるそうです。少しずつ情報が公開されていますので、公式サイトなどこまめにチェックしてみてくださいね♪(の)

ラ・フォル・ジュルネとは!?
ラ・フォル・ジュルネは、フランスのナント市で誕生したクラシック音楽祭です。会場となる複数のホールで、朝から晩まで、短時間のコンサートが一斉に開催されます。創設者であり芸術監督のルネ・マルタン氏のコンセプトに基づき、旬の若手や一流の演奏家を迎えて行われるコンサートが、低価格で体験できるばかりでなく、クラシック初心者からコアなファンまで楽しめる、ユニークでエキサイティングなプログラムも魅力です。現在ではポルトガルやスペインをはじめ、世界各地で開催されています。日本では「熱狂の日」音楽祭と呼ばれ、毎年大変な賑わいです!

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」2013公式サイト

2月

究極の名盤を聴く(2) ショパンワルツ集

2013年、23人の音楽評論家が選んだ究極の名盤ガイド『クラシックCDエッセンシャル・ガイド150』をもとに、歴史に残るピアノ曲 の名盤をご紹介するコーナーの第2回目です。 ヴィルトゥオーゾたちの個性が顕著に現れる作曲家の筆頭といえば、ショパンではないでしょうか。 皆さんは、誰が弾くワルツがお好きですか?

名盤BEST 5
  • 1. ディヌ・リパッティ(1950年)[TOGE12023(SACD), TOCE14026/MONO/ EMIミュージックジャパン]
  • 2. サンソン・フランソワ(1963年)[TOGE12032(SACD), TOCE14124/EMIミュージックジャパン ]
  • 3. マリア・ジョアン・ピリス(1984年)[WPCS22215/ワーナーミュージックジャパン]
  • 4. アルトゥール・ルービンシュタイン(1963年)[SICC30056(Blu-spec CD)/ソニーミュージック、   BVCC37669/ Ariola Japan ]
  • 5. クラウディオ・アラウ(1979年)[4785154/Decca Virtuoso (輸) ]
  • 5. エフゲニー・キーシン(1993年)[BVCC37241/RCA (廃) ]
  • 5. アルフレッド・コルトー(1934年)[TOCE3561/MONO/EMIミュージックジャパン]
  • (輸)=輸入盤 (廃)=廃盤
   
ディヌ・リパッティ Dinu Lipatti [1917-1950 (ルーマニア)]
若き巨匠として絶大な名声を得ながら、白血病に侵されわずか33歳でこの世を去ったリパッティ。ショパンの名手としても、デリケートで洒脱な表現をもって心の襞まで沁みわたる数々の名演を残しています。14のワルツはリパッティの感覚と論理に基づいた独特の配列で演奏され、それは一篇の物語を語っているようです。
〈リパッティの曲順〉
第4番Op.34-3《華麗なる円舞曲》/第5番Op.42/第6番Op.64-1《小犬》/
第9番Op.69-1《別れ》/第7番Op.64-2/第11番Op.70-1/第10番Op.69-2/
第14番〈遺作〉/第3番Op.34-2 《華麗なる円舞曲》/第8番Op.64-3/第12番Op.70-2/
第13番Op.70-3/第1番Op.18《華麗なる大円舞曲》/第2番 Op.34-1《華麗なる円舞曲》
サンソン・フランソワ Samson François [1924-1970(フランス) ]
豊かなインスピレーションと即興性に溢れたフランソワのショパンは、そのどれもが歴史的名演といっても過言ではありません。テンポの急緩、ルバートを用いた揺れ、低音部の強調など、まさに自由奔放な演奏に知らず知らずのうちに惹きこまれていきます。
マリア・ジョアン・ピリス Maria João Pires [1944- (ポルトガル)]
「真珠色の音色」と、作品を深く掘り下げ、繊細で情感豊かな演奏が魅力のピリスですが、このワルツ集は、生気に富み弾力性に溢れた、若い時代のピリスによるもので、聴いたあと清々しい気分にさせられます。曲の順番はリパッティを踏襲しています。

*『クラシックCDエッセンシャル・ガイド150』(学研パブリッシング刊)より

1月

時代を知る!(3) ピアノ教本

2013年、『ぴあのどりーむ』は発刊20周年を迎えます。おかげさまで、全国のたくさんの先生、生徒さんたちにお使いいただいてまいりました。この場をお借りして、皆さまに御礼申し上げます。

さて、今回は、ピアノ教本の歴史を振り返ってみましょう。テクニックをつけるための「ピアノ教本」と、音楽の基礎を学ぶ「ピアノ教本」とがありますが、今回は後者に絞ってみました。文部省(現・文部科学省)の音楽取調掛・伊澤修二が日本に「バイエル教本」を持ち帰ってから130年以上。それぞれの時代に合わせてさまざまな教本が出版されています。

皆さまがレッスンで使用されている教本は何ですか? 習った教本は何ですか?
…そして、これからはどんな教本が登場し、ピアノ指導はどのように変化していくのでしょうか?

【キーワード】
音楽取調掛/バイエル/伊澤修二/メーソン/いろおんぷ/リトミック/ソルフェージュ/絶対音感/音楽教室/ピアノ・コンクール/習いごと/ハノン/チェルニー/ブルクミュラー/ソナチネ・アルバム
<略表記>『教本名』(国/出版社)
【国】
日:日本 独:ドイツ 仏:フランス 米:アメリカ 洪:ハンガリー
【出版社】
音:音楽之友社 全:全音楽譜出版社 ヤ:ヤマハミュージックメディア 春:春秋社 ド:ドレミ楽譜出版社  東:東音企画  学:学研パブリッシング カ:カワイ出版

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