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コラム・マンガ

学研の俳句おにいさんが解説 読解力が伸びる! 親子で味わう俳句 第23回

学研の俳句おにいさんが解説 読解力が伸びる! 親子で味わう俳句 第23回

28歳の若さで学研の編集者と俳人、2つの顔をもつ中西亮太が、毎回オススメの季語と俳句を紹介していくこのコーナー。
夏休みの宿題に俳句が出る学校は多いようです。子どもの時にしか感じられない気持ちを素直に表現することで、きっと素敵な俳句になります。今回紹介する作品も参考にしてみてください。

第23回 今日の季語「夏休み」(夏)

どの部屋に行つても暇や夏休み

(どのへやに いってもひまや なつやすみ)

              西村麒麟(にしむらきりん)

俳味(はいみ)を感じる

そろそろ夏休みに入った人もいるでしょうか? この句は、夏休みのワンシーンを詠(よ)んだ作品です。こんな経験をしたことがある、まさに今しているという人もたくさんいるのではないでしょうか。

手持ちぶさたになって、いろいろな部屋に行ってみるけれど、何も面白いものが見当たらないようです。子どもが一人、広い家の中で退屈している様子が思い浮かんできますね。プールや花火大会、旅行など、楽しいことがいっぱいなイメージの夏休みですが、この句はそうしたにぎやかなシーンを詠まないという点に面白さがあります。

この句が描くような、ちょっぴり滑稽(こっけい)な感じを俳句は大切にしてきました。こうした面白さを「俳味」と言うことがあります。俳句は必ずしも、美しい景色ばかりを詠むわけではありません。人や自然が織りなすちょっとした滑稽さもまた、俳句を通して物語になるのです。

俳句のキーワード「吟行(ぎんこう)」

俳句を作るために、どこかに出かけることを「吟行」と言います。頭の中で景色を思い浮かべれば俳句を作ることはできますし、多くの俳人はこうして俳句を作ったことがあるはずです。

しかし、頭の中だけで俳句を作っていると、「いつものパターン」になってしまったり、嘘っぽくなってしまったりすることもしばしば。そこで俳人は、新しい情報や偶然の景色を求めて吟行をします。

よくオススメの吟行先として挙がるのが動物園です。動物の様子を詠むと、それだけでユニークな句になることがよくあります。また、動物園は外にあるので、おのずとその季節を感じることができます。さらに、動物園には植物が植えてあることが多く、季節の草花を見ることができるのもポイントです。

みなさんも、動物園に限らず吟行をしてみると、あっと驚くような一句が詠めるかもしれませんね。

 

中西亮太の「学研の俳句おにいさんが解説 読解力が伸びる! 親子で味わう俳句」は、第1・第3水曜にお届けします! 次回もお楽しみに♪


中西亮太(なかにし りょうた)

1992年生まれ。株式会社学研プラスの編集者。大学生のとき、甘い考えでうかつに俳句をはじめる。過去に、第14回龍谷大学青春俳句大賞最優秀賞、NHK-Eテレ「俳句王国がゆく」出演など。「艀」(終刊)を経て、「円座」「秋草」現代俳句協会所属。俳句とは広く浅く長く付き合いたいと思っている。夏の作品に〈浅黒き十指李(すもも)を並べけり〉。

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