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中学受験を検討している保護者、必見! カリスマ先生による 「はじめての中学受験」ガイド

中学受験を検討している保護者、必見! カリスマ先生による 「はじめての中学受験」ガイド

中学受験にくわしい2人のカリスマ先生が、私立中学の特色や学校選びのポイント、親の心構えや準備など、中学受験とはどういうものかを5回にわたってわかりやすくお伝えします。

中学受験ジャーナリスト 瀬川信一
株式会社アーテック   野口祐希

 

★この記事は、2020年に行われたオンラインセミナー「はじめての中学受験」の内容を、最新情報に基づき再構成したものです。

 

 

<第2回>

私立中学にはどんな学校があるの?

 

お子さんの中学受験を考えるにあたって、保護者のみなさんは私立中学についてどんなイメージをお持ちでしょうか。第2回は、志望校を選ぶ際に知っておきたい私立中学の種類とそれぞれの特長について、先生方に語っていただきます。

 

「選んで行ける」私立中学  

野口:お子さんの志望校を選ぶときは、みなさんいろいろ悩まれると思いますが、それでもどんな学校に行きたいのかというイメージは、おぼろげながらお持ちなのではないでしょうか。
例えば、共学校に行きたいのか、別学、つまり男子校・女子校に行きたいのか。または、クラブ活動や学校行事の一部は男女一緒だが、教室または校舎が別で、授業は別に行う男女併学の学校か。
さらに、大学進学の際に受験を考えなくてよい大学付属校か、それとも大学受験を重視した進学校か。そのほかにもキリスト教系や仏教系といった宗教的なバックグラウンドで選ぶ方法もあります。
さまざまな特長を調べて、自分に合った学校を選んで受験する——このように、「選んで行ける」のが私立中学のいいところだと思います。

その点、瀬川さんはいかがでしょうか?

瀬川:そうですね。そこが公立校との大きな違いでしょうね。
200の私立中学があるとすると、200の教育方針があります。同じ学校はひとつもありません。先生方の指導にもそれぞれの私立の歴史や伝統が色濃く反映しています。

 

進学校、付属校、半付属校  

野口:併設の大学に入学できる付属校を受けるのか、それとも大学受験が前提の進学校を受けるのかということは、進学後の過ごし方が大きく変わるので、保護者から質問を受けることが多いです。
例えばトップレベルの大学の付属校だったら、その大学に進学するということで、卒業後の進路に迷いはあまりないでしょう。ゆとりを持ってクラブ活動などに打ち込めます。
他方、同じ付属校でも、卒業後に系列の大学に進学するのか、それともほかの大学を受験するのか決められないというケースでは、もしほかの大学へ進学したいと思ったときに系列大学への進学の権利を保持することが可能なのかを調べておく必要があります。
こういう付属校からほかの大学受験をするとなると、付属校の勉強スピードは進学校よりはゆっくりなことが多いので、例えば塾や予備校に通うことになり、お金がかかることもありうるわけです。そういったことも含めて、その学校に行く価値があるのかということをよく考えたほうがよいと思いますね。

瀬川:付属校という選択肢を考える保護者には、大学入試制度改革にあまり左右されたくない、学校生活をなるべくゆったりと過ごさせたいと望む人が多いと思います。
その場合、いちばん大事なのは、併設大学の学部・学科構成を踏まえて選ぶことです。
例えば、工学系に進みたいと思っても、併設大学に工学部がなかったらほかの大学を受験しなければいけません。逆に、工学系の単科大学の付属校だと、人文系・社会科学系の学部に行きたい場合に大学を受験しなければいけません。そうなると、大学付属の中高一貫校を選んだ、そのプラスの面がマイナス面に転化する可能性もあるわけです。

また、付属校の中での最近の傾向をひとつ申し上げますと、「半付属校」というものがあります。
併設大学への進学という選択肢を残しながら、ほかの大学の受験も可能な学校で、名称はさまざまですが、別のコースを用意して受験の指導にも力を入れている学校です。
このように、付属校進学校のよさをプラスしたような学校もあるわけで、付属校の中にもいろいろな学校があるということを踏まえて学校選びをしてもいいんじゃないかなと思います。

 

女子校・男子校、共学校

瀬川:なぜ私立校に男子校女子校など別学が多いのかというと、歴史の古い学校は男女別学が多いからです。第二次世界大戦前は、男女別学があたりまえだったわけです。また、公立校は戦後の教育改革で多くの学校が共学になりましたが、私立校には男女別学が残りました。
そう聞くと、別学は古いスタイルなのではないかと思われるかもしれませんが、一人ひとりの子どもの成長度合いの違いを考え、教育に活かしくれるようなよさが、別学には多く見られるのです。
例えば、塾で見ていてもそう感じることがあるのですが、小学校6年生男の子でもかなり幼くみえる子がいる一方で、女の子は本当にしっかりしていて、精神的な成長の早さに違いがあるように感じます。野口さん、そのあたりはどうでしょう?

野口:そうですね。これは実際に私立の学校の先生から聞いた話です。その学校は男女併学で、同じ先生が男子部と女子部を掛け持ちで教えているんですが、それぞれの特性に合わせて指導に工夫をしているそうです。
例えば、男子部のほうは失敗しながら学んでいくタイプの子が多い。授業中に当てられて答えを間違っても「ああ、失敗した」で終わり。そのうちに正解にたどり着き「当たった!」となる。そうやって学んでいくそうです。
一方、女子部のほうは人前で失敗させないほうがよい場合が多いらしいです。机間巡視をしながら「ここはOK」「ここは直しなさい」と個別指導して、ひと通り教室を回ったところで「はい、わかる人?」と聞いて、手をあげた子を指名して「正解」となる。男女がまざっていると、男子ばかり手をあげて女子が伸びないなどと言われています。
年齢によっても違うのですが、とくに中学生のころには、それぞれの個性を伸ばすためには男女の特性に合わせた教育ができる別学のほうがよいとも言われています。

その一方で、時代は完全に共学志向で、別学の私立校で共学になる学校がどんどん増えています。子どもたちも、「どの学校がいい?」と聞くとだいたい共学校を選びます。
 男子校女子校共学校かを選ぶ際には、ぜひ学園祭などにお子さんを連れていってあげてほしいですね。学校は、見学に来た人をとても温かく迎えてくれますし、後輩になるかもしれない小学生がやってきたら、本当に一生懸命に案内や説明などをしてくれるはずです。
今はコロナ禍でちょっと厳しいかもしれませんが、まず学校を訪問して、直接お兄さん、お姉さんたちと話をさせるとよいと思いますね。

 

設立の理念(宗教など)

野口:私立中学の選び方では、宗教的なバックグラウンドについても保護者から多くの質問があります。カトリックなのかプロテスタントなのか、あるいは仏教なのか。多くはその3つかと思いますが、「うちは仏教なのですが、カトリックの学校に進学してもよいのでしょうか」などの質問がよくあります。
基本的には信仰に関係なく進学できます。例えばミッション校であっても、通っている生徒に信者はほとんどいないという学校もあります。
瀬川さんのご経験ではいかがしょうか。

瀬川:そうですね。指導が厳しいのではないかとか、信仰をもっていないといけないのではないかとか、そういった心配をされる保護者がいますが、日本の学校の場合、そういう心配はいりません。信仰に基づく人間観や世界観を教育理念として、みんないっしょに勉強しましょうというものになっています。
そういう環境の中で6年間をすごすのですから、私立校の中でも宗教のある学校では、人間としての柱というか軸のようなものをしっかり持てるような気がします。
野口さんはどのようにお考えでしょうか?

野口:私の通った学校はミッション校でした。週に1回、お祈りの時間があって、よくわからないまま出席していたのですが、おごそかな雰囲気の中でお祈りが始まると、ガヤガヤしていたのが一瞬で静かになるんですね。6年間続けるとだんだんお祈りの意味もわかってきますから、こういったことも経験としてよかったんじゃないかなと思いますね。

また、私立校には、宗教でなくても「設立の理念」があります。例えば、その学校の創立者の銅像が校内にあって、倫理の時間、ホームルーム、あるいは学校行事などを通して、創立者の業績や生き方を学ぶ機会があります。そういった教育的活動のなかに、子どもたち全体をひとつにまとめる力があるのではないかと思います。

 

<第3回につづく>

 

 

瀬川信一/中学受験ジャーナリスト
日能研本部で中学受験情報の執筆、講演活動に従事後、独立。各種中学受験情報誌への原稿執筆、首都圏の複数の学校へのコンサルタント、講演活動などを行う。2008年より学研Gネット(学研合格ネット)に情報センター長として参加。首都圏を中心に、関西、九州など、訪問した学校の数は200校を超える。かざらない人柄で、国立・私立中高一貫校の先生方と幅広いネットワークをもつ。

 

野口祐希/株式会社アーテック
日能研本部の理科専任、日能研上大岡校室長、啓進塾金沢文庫校室長を歴任後、独立して大岡山に中学受験専門塾を開校。さらに2008年学研の直営中学受験専門塾「学明舎」を開校し、学研Gネット(学研合格ネット)の立ち上げに尽力する。その後、学研エデュケーショナルを経て現職。Gネット専用塾教材『合格自在 理科』全巻、『カリスマ先生の合格授業 理科 生物・化学』『カリスマ先生の合格授業 理科 物理・地学』(学研)を執筆。理科専任講師・室長・塾代表という幅広い経験により、受験勉強での点数アップ法から塾生・保護者の不安の解消法、受験校の決め方や塾運営のノウハウまで、「裏ワザ・裏事情」にくわしい。

 

 

 

 

 

 

 

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