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せいかつ

“学校に行きたくない”――不登校の現状と支援

“学校に行きたくない”――不登校の現状と支援

ようやく新しいクラスに慣れてきた…そんなころに出てくるのが心の不調です。小学校でも、何らかの理由で学校に行けない、行かない児童が年々増えている状況です。中学生、高校生になるとさらに多くなる傾向にあり、国をあげての対策が進められています。今回は不登校の現状と支援についてお伝えします。

不登校の児童数は過去最多

文部科学省の調査によると、小学生の不登校児童数は53,350人(令和元年度)で過去最多となりました(※1-P1)。さらに、不登校児童のなかで約半数が年間の欠席日数が90日以上に及んでおり、不登校が長期化している現状がわかります(※1-P2)。

不登校児童と保護者の意志が尊重される

「不登校」への対策・支援については、「学校に登校する」ことを目標にしている印象があるかもしれませんが、近年では「児童が自らの進路を主体的にとらえて、社会的に自立する」という方向で、不登校児童とその保護者の意志が尊重される支援がなされています。

出席に関する扱いも、かつては基本、登校をもってのみ出席とされていましたが、個別に指導を受けている場合や、自宅でICTなどを使って学習をしている場合は、一定要件を満たせば出席扱いとみなされるように変わってきています(※1- P6)。

支援体制

不登校の子どもへの支援といえば、従来は担任や養護教諭が中心になって行われていました。それが、現在では手厚く支援体制が整備されてきており、学校内外で援助を受けることができるようになってきています。

学校内部の支援体制

学校内部では、校長のリーダーシップのもと、教員だけでなくスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携・協力して、組織的な支援体制が整えられつつあります。児童を支援するための支援スタッフを常駐させる学校も増えてきました。複数の先生やカウンセラーが組織的に関わることで、通り一遍ではなく個々の状況に応じて対応ができます。ある先生に相談しても不安をぬぐいきれない場合は別の先生や支援者に相談するなど、様々な方向から不登校支援のアプローチができるようになるのです。

さらに学校には、子どもたちが不登校にならないような魅力あるよりよい学校づくりを目指すほか、児童の学習状況に応じた指導・配慮を実施するという指針の下に、対策が進められています(※1 P6)。いじめやトラブルに対しても、大きな問題になる前に学校が把握するためアンケートなどが積極的に活用されつつあります。

学校外部の支援体制

不登校児童の社会的自立に向けた指導や支援を担う「教育支援センター(適応指導教室)」の設置が進められています。教育支援センターに通うことが難しい児童には、家庭訪問などを通じての相談対応や、学習支援等を行う支援員も配備されつつあります。

さらに、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援といった多様な教育機会の確保が重視されています。それぞれの子どもの状況に応じて、選択できる学び方の幅が広がってきているといえます。

不登校になっても安心して過ごせる環境を

不登校の子どもが年々増加している状況を受けて、ここ数年で支援体制が一気に充実してきた印象があります。子どもが「学校に行きたくない」「どうしても行けない」となった場合は、まずは学校に相談してみてください。学校に直接言いにくいような場合でも、今は外部の相談・支援機関が豊富にあります。対応状況によっては、学校の出席扱いにできるかもしれません。

参考
※1「文部科学省における不登校児童生徒への支援施策」令和3年、文部科学省

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