1月
前年11月号ではアフリカ・タンザニアから、ピアノのレッスンの経験談をお届けしました。第2回目はアジア・韓国からです。近年、特に女性の間での韓流ブームは話題を呼びました。おいしい韓国料理や豊富なコスメ用品を求めて、実際に足を運ぶ方も多くいらっしゃると思います。今回体験談を話してくれたのは、韓国出身の高校2年生、アンちゃんです。いつも元気いっぱいのアンちゃん、小学生のときに受けていたピアノのレッスンの様子をお話してくれました。
「母に勧められて10歳のときにピアノを習い始めました。習った期間は1年半ほどでしたが、週に3回レッスンに通っていました。子どものための曲集や、あとはチェルニーの楽譜を使っていました。韓国ではブルクミュラーの曲集もよく知られていますよ。ピアノの先生もたくさんいて、私の先生は家の隣に住んでいました。ちなみに、私のいとこはピアノの先生です! 今住んでいる家にはピアノがないのでなかなか弾く機会がないのですが、もしピアノがあったら、好きな曲を楽しく弾きたいな、なんて思います。なんでピアノを辞めちゃったんだろうって、今は後悔しています。ピアノのほかにはフルートとヴァイオリン、そして韓国の伝統楽器の“ピリ”という楽器も弾きます。残念ながら韓国の子どもたちは勉強でとても忙しく、勉強にあまり関係のない習い事は人気がありません。ですが、多くの大人たちは子どもにピアノなどの音楽教育も受けさせたいと考えているようです。」
このように語ってくれたアンちゃん。ピアノを辞めて後悔しているとのコメントに、「まだ高校生なんだから、これからでもたくさん習うチャンスがあるよ!」と思わず熱くなってしまいました。学校から帰った後も勉強三昧、その傍ら様々な音楽活動…と韓国の子どもたちは大忙しのようですね。日本でもお馴染みのチェルニーやブルクミュラーの曲集が韓国でも使われているようで、共通点を見つけた私たちは話が弾みました。日本にも何度か来たことがあるそうで、駅名や食べ物の日本語をたくさん披露してくれましたよ! さて次回はどこの国からのレポートでしょうか? お楽しみに!!(め)
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僕と私とピアノ
今月号よりスタートした新コーナー。ピアノを習った経験がある世界中の方々に、ピアノのレッスンにまつわる体験談やどんな曲を習ったかなどのお話を聞き、みなさんと一緒に世界のピアノ教育をのぞき見してまいります!この連載をスタートするきっかけとなったのは、担当者(め)の友人でピアノの先生をしているAさんからのメールでした。「どうしよう!!転勤で外国から日本にきたご家族のお子さんが入会したんだけど、日本語があまりわからないみたいだし、どんな風にレッスンを進めたらいいかわからない!助けてー!!!」というSOSメールでした。この時は、レッスンで必須であろう英語の音楽用語や会話フレーズを用意してピンチをきりぬけましたが、今後のことを考えると、より一層レッスンに工夫が必要でした。転入してきた生徒さんが以前に学習していたメソッドがどんなものだったのか、どんな環境で音楽に親しんできたのか、そのすべてを知るのは難しいことですが、ほんのささいなことが今後のレッスンのヒントになることもありますよね。これからご紹介するエピソードや小ネタが、なにかの時に、レッスンの隠し味になることを願っています。
記念すべき第1回目はアフリカ大陸の中心からやや東、タンザニアから。インド洋に面し、約4600万人の人々が暮らしています。今回取材に応じてくれたジョー君はタンザニア経済の中心地ダルエスサラームで育ち、現在25歳。会計の仕事をしています。小学生の頃にはピアノを習ったことがあるそうです。さて、ジョー君はどのようにピアノに慣れ親しんでいったのでしょうか?
「僕は10歳の頃からピアノを習い始めました。理由は、いつも音楽への情熱があったから。だからなにかのバンドや教会で演奏してみたかった。そうして、通っている教会のピアニストにピアノを習うことになりました。約1時間のレッスンを週に2回、でも先生の空き時間にピアノを教えてもらっていたので、先生の仕事が忙しいときは会えないこともありました。そのため楽譜を読み込んだり、他の人の演奏を聴いたりして自力で音楽の勉強をすることも多かったです。特に教則本があったわけではないので、練習した曲は、賛美歌などの教会音楽です。ピアノが少し弾けるようになったなと感じた頃からは、毎週日曜日に聖歌隊のピアノ伴奏をするようになりました。聖歌隊のみんなが自分の演奏に合わせて歌ってくれるのが、とても楽しかった。ピアノを弾くということが、教会に訪れる人々と共に過ごす僕の日曜日に、更なる喜びをもたらしてくれました。両親が小さなキーボードを買ってくれたので、家ではそのキーボードで練習をしました。僕の住む街にはピアノの先生は比較的多く、プロフェッショナルになるためのレッスンということでなければ、ピアノを習うことはそれほど難しくありません。ピアノを習った経験は、基礎的な技術を学ぶことができたということにとどまらず、即興演奏をする時にも非常に役にたちました。地域の楽団や学校の教会バンドに入って活動ができたのも、ピアノを習った経験があったからだと思います。大人になった今でも、日曜日には教会でピアノを弾いたりしているんですよ。」
このように語ってくれたジョー君。音楽が好き、ピアノが好きという気持ちがとてもよく伝わってきました。その“好き”という気持ちは、幼い頃の生活の中に人前で楽しく演奏する機会が多くあったことで育まれたのかもしれません。そんなジョー君、日本を訪れたことはないものの、実はピアノの他にも、タンザニアで長年柔道を習っていた有段者なんです!音楽も柔道も大好きだと話す姿が印象的でした。次回はアジアの国からのエピソードをお届けします。お楽しみに!(め)
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