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コラム・マンガ

大人に気を遣う子どもたち②

大人に気を遣う子どもたち②

あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第98回」

院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。

大人の想像以上に

大人たちが考えている以上に、子どもたちは大人に気を遣(つか)っていることがあります。

特に病気やけがのために入院をして、家族などに迷惑をかけていると感じている子どもたちは、そのような姿を見せることが多々あります。

「お父さんや、お母さんが言うなら、そうする」と、自分で考えることをやめている子どもたちもいます。

「私が代わりに」

病気を抱(かか)えるお子さんに、きょうだいがいるばあいもあります。

家族の中に、重篤(じゅうとく)な病気を抱えたお子さんがいるときは家の一大事ですから、家族全員に大きな影響(えいきょう)を与えます。それは当然のことです。

そんなとき、きょうだいたちは不安の中にいるにもかかわらず、我慢(がまん)をします。

「私が代わりに病気になればよかった」
「私があんなことをしたから、病気になってしまったのかも」と、自分を責めてしまうきょうだいも出てきます。

本当は自分も何かしら家族の役に立ちたいと思っているのに、「子どもだから」「小さいから」という理由から、何も伝えてもらえないきょうだいもいます。

万が一のことがあると「お母さんを支えてあげてね」とか「泣かないで。あなたがしっかりしないとね」とか、中には「亡くなった〇〇さんの分まで生きるのよ」と声をかけられるきょうだいもいます。

泣きたくても泣けず、誰(だれ)にも相談できずに、自分ががんばらないといけないと考える子どもたち。

そんな姿を見て周囲の大人たちが褒(ほ)めると、子どもたちはもっと、もっと、と考えてしまうのです。

言葉にならない声を受け止める

学校で、病気を抱えた子どもがクラスに戻(もど)ってきたとき、「気持ちを考えてあげましょう」「何かお世話をしてあげましょう」「やさしくしてあげましょう」という声がけがされます。

まだ入院をしている子には「みんなでお手紙を書いてあげましょう」ということがあるかもしれません。それは、病気を抱える子どもたちにとって、とってもうれしいことです。

先生の声がけを聞いて、一生懸命(いっしょうけんめい)に病気を抱えた子どものお世話をする子もいるでしょう。先生に褒められたなら、なおさらのこと。

でも実はクラスには、病気を抱えた子どもに、どのように接したらよいのか悩んでいる子が必ずいます。

「なんて声をかけたらいいのか、わからない」

「何を手伝ったらいいの?」

「入院する前と同じように遊んでもいいのかな」

そんな子どもたちがじっと見ているのは、担任の先生(大人)が病気を抱えた子とどう接しているのか、どう関わっているのかという態度や声がけです。そこから学んでいます。
これは、関わりが難しい友だちとの接し方にも共通することかもしれません。

「何も言わずにがんばろう」

「いつも笑顔でいるよ」

「楽しそうにふるまおう」

「なんでも一生懸命やっているよ」

「何があっても大丈夫だって言う」

これらは子どもたちが、私たち大人にくれた「偽りのインセンティブ(報酬)」なのかもしれません。彼ら、彼女らの、言葉にならない声を、しっかりと受け止めることができる力をつかるための学びを、これからも続けていきたいと思います。

Information

「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊

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あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

筆者:あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当 1966年、福岡県生まれ。東京都の公立小学校教諭を25年間務め、 1999年に都の派遣研修で東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。 2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。2009年ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)のモチーフとなる。2011年『プロフェッショナル 仕事の流儀「涙も笑いも、力になる」』(NHK総合)出演。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタルクラウンとしても活動中。

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