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子育て

【日体大・野井真吾先生に聞いた!コロナ禍の子どもたちは今】第2回 外出自粛生活で子どもが感じているストレスとは?

【日体大・野井真吾先生に聞いた!コロナ禍の子どもたちは今】第2回 外出自粛生活で子どもが感じているストレスとは?

2021年を迎えてすぐに、新型コロナウイルスの感染拡大により、2度目の緊急事態宣言が発出されました。昨年の休校措置や今でも続く常にマスクをしての生活などで、多くの子どもが今までにないストレスを抱えていると思います。

そんなストレスを抱える子どもたちのからだが心配な保護者の皆さんに、日本体育大学教授・野井真吾先生が教える、コロナ禍における「子どもの元気」についての連載を全3回でお送りしています。

第2回は、コロナ禍における子どもの精神状態やSOSのサインについてです。

コロナ禍で普段とは違う環境に置かれている子どもたち。どんなことをストレスに感じているのでしょうか?

2020年2月末に臨時休校要請があり、子どもたちは気持ちの整理もできないまま、突然学校へ行けなくなるという事態に直面しました。

そんな子どもたちのからだや心を心配する多くの声を受け、休校中と休校明けの二度にわたって、子どものからだと心に関する緊急調査を実施したのです。

調査校を通じて、各家庭にウェブ調査を行ったほか、文科省実施の健康診断や新体力テストの結果も加えて分析しました。(休校中調査は2020年5月、休校明け調査は2020年6、7月に実施)

調査結果から、子どもの困りごとの訴えを見てみると、休校中「思うように外に出られないこと」(61%)、「友だちに会えないこと」(56.5%)、「運動不足になってしまうこと」(56.1%)が上位に。一方、休校明けの調査では、「マスクをつけなければならないこと」(49.4%)、「感染症が不安なこと」(40.4%)、「学校行事がないこと」(34.0%)が上位に挙がっています。

さらに、精神症状の訴えを見てみると、休校明けに10項目中8項目で数値がダウンしています。このことから外出自粛生活を送っていた休校中は精神的なストレスを強く受けていたことが見て取れます。

 

対して、身体症状の訴えは、休校明けに12項目中7項目で数値がアップしています。学校が再開して気持ちは満たされた反面、約3か月ぶりの通学に身体は適応しきれなかったのかもしれません。

このように、家に閉じこもって過ごした3か月間は、子どもの心やからだに大きな影響を与えていたことがわかります。

休校措置がとられていない現在でも外出自粛生活は続いており、上記のような子どもの、特に精神症状の項目は、今後も継続して注目すべきといえるでしょう。

健康診断の結果では何か変化が見られたのでしょうか?

※ローレル指数:児童・生徒の肥満の程度を表す体格指数

こちらのグラフでは、同じ学校で2019年度と2020年度に行った健康診断の結果を比較しています。

身長と体重の割合から計算するローレル指数を見てみると、肥満傾向に判定されている子どもが増えていることがわかります。

普段なら外を走り回っている子どもが3か月も外出自粛生活を送っていたわけですから、運動不足は否めず、それが肥満という形に現れたのではないでしょうか。

もう一つの特徴としては、裸眼視力が1.0に満たない子どもの割合が2019年度のデータと比べると増えていることが挙げられます。

長期自粛生活中に、ゲームやネットをする時間や、オンライン学習などでスクリーンを眺める時間が増加したことが、子どもの視力に影響を与えたといえそうです。

コロナ禍において、子どものからだと心のSOSサインを見逃さないためには、どうしたらいいのでしょうか?

「精神症状の訴え」を示したグラフで休校中と休校明けに大きな差が出ている項目、つまり「集中できない」「やる気が出ない」「頑張るのがむずしい」といった症状が見られはじめたら要注意です。このあたりの症状を注意すべきなのはコロナ禍に限らずいえることですね。

また生活習慣の乱れはからだや心の状態を不安定にします。外出を自粛して、家にいる時間が増えると、どうしても寝る時間、起きる時間、食事をとる時間等がばらつき、生活リズムが乱れがちになりますので、保護者も一緒に1日の計画を立てるなど、生活リズムを整えてあげてほしいと思います。

第3回 外出自粛生活の中で、家庭で気をつけるべきことは?に続きます。

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野井 真吾(のい しんご)

監修者:野井 真吾(のい しんご)

日本体育大学体育学部教授。専門は教育生理学、発育発達学、学校保健学、体育学。子どものからだと心に関する著書多数

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