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コラム・マンガ

子どものことば~語りの受け取り方~【前編】

子どものことば~語りの受け取り方~【前編】

あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第91回」

院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。

「おれも、おれも」

教室にいると話を聞いてほしい子どもがそばに寄ってきてくれます。

「先生、昨日はね、ずっと家にいて、家の人とトランプをしていたんだよ」

「楽しそうだね、よかったね」

「うん、すごく楽しかった」

そんな会話をしていると、別の子がやってきて話に参加します。

「先生、おれも昨日、お父さんとカブトムシをつかまえに行った」

すると、さっき家でトランプをしていたと言っていた子が言いました。

「おれも、おれも」

──えっ、なにを言っているの? さっきはずっと家にいて、と言っていたのにね──

でも、「なにウソを言っているの?」とは思いません。この「おれも、おれも」の言葉にどのようなメッセージがかくれているのかを考えます。

本当に伝えたいこと……

「先生、ぼくとお話をしているんじゃないの?」

「先生、わたしの話をちゃんと聞いていますか?」

「これから話題がカブトムシになったら、もうここにいちゃいけないのかな」

本人がきちんと意識をしているのかどうかはわかりませんが、「おれも、おれも」の言葉の向こう側には、たくさんのメッセージがあるはずです。

~ぼく、先生と話がしたい!~

~わたしもみんなといっしょにいたい~

~先生にぼくの話を聞いてほしい~

~わたしも仲間に入れてほしい~

~ぼくの話も全部聞いてよ~

~ここにいてもいいんだよね~

いろいろな考えが頭をよぎっているのかもしれません。

みなさんの周りにもいませんか?

いやがられてもいいから周囲から注目してもらいたい子が。

そんなことをしたら、みんなが引いてしまうことがわかっているのに、やってしまう子が。おこられてもいいから、すぐにわかるようなウソをついてしまう子が。

友だちとうまくいっていない。大人にたくさんおこられている。自分が考えているような成績を残せない子どもたちは、物事をおおげさに言ったり、言い訳をしたり、ときにはウソをついてしまったりする姿が見られることがあります。

もちろん、ウソをつくことはいけないことで、それに関してはしっかりと注意をする必要がありますが、その子がなぜウソをつかずにはいられなかったのか、そのウソの向こう側にあるメッセージを確認したいと思うのです。

話を聞くということは、その内容を受け取ることが大切です。それをないがしろにしてよいはずはありません。ただ、その前に「私はあなたの話をちゃんと聞いていますよ」「お友だちがたくさんきても、一人ひとりの話をちゃんと聞きますよ」「話題はころころ変わるかもしれないけど、ここにいていいんだよ。あなたも仲間だよ」ということを、しっかり伝えてあげることが大切だと思います。

ウソをつく子ども、でも、じつはそこに本当に伝えたいメッセージがあるかもしれないことをお伝えしました。後編では、子どもとかかわるときに意識している「子どもの立ち位置」について詳しくお話していきます。ではまた。

Information

「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊

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あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

筆者:あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当 1966年、福岡県生まれ。東京都の公立小学校教諭を25年間務め、 1999年に都の派遣研修で東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。 2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。2009年ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)のモチーフとなる。2011年『プロフェッショナル 仕事の流儀「涙も笑いも、力になる」』(NHK総合)出演。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタルクラウンとしても活動中。

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