WEB限定 書き下ろし小説

HP限定書き下ろし ショーン、騎士団入団!?

第二回

   あらすじ
騎士団の入団試験を受けにいったショーン…、
しかしいっしょについていった
アーエス、ベルは、じゃまする気まんまんで…!?


「ベル……まるで……ショーンのお母さんみたい」
 ショーンが行ってしまうと、アーエスはベルを見上げた。
「失礼ね! あたしは! ああいうトロいやつにがまんできないだけよ!」
 ベルはこしに手を当ててアーエスをにらむ。
「……で、これからどうしよっか?」
「……とりあえず……試験の様子を……見て……万が一……うまくいきそう……だったら……魔旋律(ませんりつ)で……じゃまする」
「そうよね。こういう時のための、魔法だもんね」
 アンリが聞いたら頭をかかえそうなことを口にするベル。
 一方、試験会場の前方では。

「わたくしはシャーミアン。今回の試験の監督官をつとめる、白天馬騎士団の副団長です」
 整列した受験者を見わたし、副団長が試験の説明を始めていた。
「今回の試験は乗馬、剣技(けんぎ)の二種目で行なわれます。合格者の人数は定めていません。つまり、ゆうしゅうな者がいれば何人でも従者として入団させる用意がある一方、きじゅんに達する者がいなければ、今年の合格者はなし、ということもあり得るのです。みな、自分の持つ力のすべてを、ここで見せるように」
 はい、と元気に返事をする受験者たち。
「では、まず第一種目。乗馬の試験を開始します。みなさん、それぞれ、選んだ馬に乗ってもらい、東街区を一周する順路を走ってもらいます」
「それじゃ、みんな~! まずこっちに来て~!」
 試験監督助手のエティエンヌが、馬を囲ってある場所に受験者を案内する。
「で、馬を選んだら、出走位置についてね~」
「馬は自分で選べるのか? よし! ではこのサクノス家の未来の騎士にふさわしい、麗美(れいび)で優雅(ゆうが)な馬を選ぶとしよう!」
 ショーンはむねを張って不適(ふてき)に笑うと、一頭のたくましい白馬の手綱(たずな)を取る。
 しかし……。
「だ~っ!」
 ショーンが選んだ白馬を見たベルは、ひたいに手を当てた。
「……どしたの?」
と、ふり返るアーエス。
「あいつ、馬のこと、な~んにも分かってない!」
「何か……問題が?」
「あの馬」
 ベルは白馬を指さした。
「目を見れば分かるけど、かなり気が強い、くせのある馬よ。へたくそな乗り手のいうことなんか、ぜ~ったいに聞かないから」
「……つまり……ショーンの……命令……なんて」
「完っ全に、無視するわね