WEB限定 書き下ろし小説

名コンビ誕生? へんてこ貴族セドリック&ドラゴン少年ライム♪

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「これからどうするんです?」

 緑の髪に緑の瞳の少年は、「三本足のアライグマ」亭を出ると、隣に立つ態度の大きな少年の方を見た。
 緑の瞳の少年はライム。
 アムリオンの王都に来たばかりのエメラルド・ドラゴンの、人間に変身した仮の姿である。
 一方。
「決まっているじゃないか? この王都を訪れたばかりの迷いし者に、この僕、セドリックがしなければならないことと言ったら」
 と、ウインクした少年はセドリック。家柄も良く、お金持ちで、見た目もそこそこなのだが、根拠のない自信と生意気な態度のせいで女の子の人気はからっきしの貴族の少年だ。ふたりは「三本足のアライグマ」亭でたまたま出会い、なぜか意気投合したのである。
「そう! それは我が街を隅々まで案内すること! 君は僕とともに街中を巡る運命にあるのさ!」
 セドリックは胸を張って笑みを浮かべ、そう高らかに宣言していた。
「ありがとうございます」
 別に迷った訳ではないのだが、ライムは素直に感謝の言葉を口にする。
「なあに、気にすることはない。君は僕の親友たるにふさわしい人材なのだから。なにせーー」
 セドリックはライムの顔に自分の顔を近づけた。
「君の瞳に映る僕の横顔は、非常〜に美しい! 特に、この角度!」
 セドリックは首を斜めに傾げて、ライムの目をのぞき込む。
「誰の瞳でも、映る姿は同じじゃないんですか?」
 ライムはごく当然の疑問を口にする。
「いや、それがだねぇ」
 セドリックはため息をつくと、傷ついたような表情を浮かべる。
「不思議なことに! この街の女の子たちは、み〜んな照れ屋さんでね。僕が瞳をのぞこうしても、なかなかそうさせてくれないんだ。フィリイなんて、僕が近づくだけで悲鳴を上げて逃げ出して」
「あの……それって?」
「その通り! あまりに人気がありすぎると、フィリイ程度のダメダメな女の子は近づきがたくなるのだよ」
「そ、そうなんですか?」