WEB限定 書き下ろし小説

HP限定書き下ろし ショーン、騎士団入団!?

第二回

まあ、だれにでも、苦手な物の一つや、二つや、三つや、四つや、五つや、六つや、七つや……とにかく、ある。だが! 次の剣術(けんじゅつ)であざやかにゆうしょうすれば、かれいなる大逆転!! サクノス家にもうひとり、新たなる騎士団員の誕生(たんじょう)することになるのだ!」
 ショーンは乗馬の結果に、全然、こりていなかった。
「ここまで……楽観的だと……感心……する」
 自信満々でむねを張り、せんげんするショーンを見て、アーエスは首を横にふる。
「……ねえ、あたしたち、ショーンが受かりそうになったら、じゃまする予定でここに来たんだよね?」
 ベルはアーエスにささやく。
「……うん……それが……『ショーン君……騎士になれなくて……残念でした……イッヒッヒ……大作戦』……」
 うなずくアーエス。
「けどさ、何かしなくても、あいつ、ふつうに落ちそうじゃない?」
「…………………………落ちるね」
「最後まで付き合って、見てなきゃいけないと思う?」
「……きついね……それ」
 ため息をつく二人。
 そうこうしているうちに、いよいよ後半戦の説明が始まった。
「これから行なわれる第二種目では、あなたがたの剣技をしんさします。各自、よろいを身に着け、一対一で戦ってもらい、先に地面にひざをついたほうが負け。勝ちぬき戦で、最終的にひとりが勝ち残るまで試合を行ないます。それでは、第一試合の参加者はそれぞれ位置について下さい」
と、すんだひとみで受験者を見わたすシャーミアン。
「剣はこっちで用意したものを使って~! 安全のために刃をにぶらせてるけど、それでも気をぬくとけがしちゃうから、気をつけてね~」
 監督助手のエティエンヌが付け足す。
「よろい、持ってきてる?」
 係の人から剣を受け取ってきたショーンに、声をかけるベル。
「当然だ」
 ショーンはズルズルと大きなふくろを引きずってくると、ドンと二人の目の前に置いた。
 かわひもをといてふくろの口を開くと、中から出てきたのはずいぶんとりっぱなよろいである。
「おお……これ……いくらで……売れる?」
と、かんたんするアーエス。
「売るな! ていうか、これはぼくがわざわざ、サクノス家に出入りするゆうしゅうな職人(しょくにん)に、特注で作ってもらった最高級のよろいだぞ!」
「でさ、あんた、着られるの、これ?」
 みがき上げられた光りかがやくかぶとを持ってみて、ベルがたずねた。
「ふ、サクノス家の者がよろいごとき、ひとりで身につけられなくてどうする?」
 ショーンはそう言うと、足のほうからよろいを身につけ始める。
 だが……。