WEB限定 書き下ろし小説

はじまりの三人組!!

第四回

家を出たアーエスは、商人に連れられて大レーヌ川の方に向かった。
 川をこすと、王都の中央広場だ。
「こんばん、船に乗るよ」
 アーエスの手をにぎって歩きながら、商人は言った。
「街を……はなれるの?」
 アーエスは商人を見上げる。
「ああ」
 商人はアーエスの手を決してはなそうとはしない。
「遠くへ行くんだ」
「遠く?」
「そう。とっても遠くだ」
 商人の声に、もうさっきまでのいつわりのやさしさはなかった。
「お前だって、本当は分かっているんだろう? 自分が、実の親に売られたということが」
「わたしは……どれいに……なるの?」
「その通り。かしこい子だ」
「……そんなの」
 商人の手をふりほどこうとするアーエス。
「いやだ、と言われてもこまる。お前さんの父親には、ずいぶんしはらったんでね。それとも、お金を返してくれるかな?」
「…………」
 アーエスはていこうをやめた。