WEB限定 書き下ろし小説

HP限定書き下ろし ショーン、騎士団入団!?

第三回

「こいつをこれ以上いじめんのなら、あたしが相手だからね!」
「……」
 黒騎士たちは受験者ではない者が乱入してきたことにとまどい、思わずシャーミアン副騎士団長のほうを見る。
 ほんのかすかに、周囲に分からないようにうなずくシャーミアン副騎士団長。
「……そう……そういうこと……」
 観察眼がするどいアーエスは、これを見のがさなかった。
「さっきから……何もしないから……変だと……思ってたけど……それに……黒騎士……いかにも……悪者っぽいのか……わざとらしい……」
 アーエスはニッと口元に笑みをうかべると、応援席から下りてベルのとなりに立つ。
「おもしろいから……わたしも……乱入……」
「さあ、かかってきなさいよ!」
 剣をかまえたベルは、黒騎士たちを見上げて言った。
「おろかな。その剣が切れぬことは、お前も知っておろう」
 ベルをあざ笑う黒騎士たち。
「おろかなのはあんたたち! 風よ! この剣に宿れ! ブラス・エア・ファルヴ!」
 ビュウッ!
 魔旋律を唱えながらベルが剣をふると、とつぜん、たつまきが起こり、黒騎士のひとりを馬からたたき落とした。
「今まで……たいくつしてたから……ちょっと……遊んじゃう……氷の刃……ガザル……グリード」
 アーエスも魔旋律を唱えると、三日月形の、するどい氷のかけらを飛ばす。
 ザシュッ!
「うおおおっ!」
 氷の刃は、黒騎士のよろいを切りさき、ズタズタにした。
「……これで……残り……四人」
「あ~っ! あたしより目立つ魔法使ってる! だったらこっちも! 雷撃(らいげき)よ、この剣に宿れ! ガデル・ラアム!」
 バチバチバチッ!
「うわっ!」
 青白い火花が剣の刃からあがり、その剣先にふれた黒騎士が、馬の上からはじき飛ばされて地面の上を転がる。
「どうよ? 見た?」
 ちょっと得意げなベル。
「じゃあ……わたしは……氷の矢を……雨のように……アシェム……グリード」
 アーエスが手を軽くふると、黒騎士たちの頭上に、ツララのようにとがった氷がふりそそいだ。
「ひいいいいっ!」
 ザク、ザク、ザクッ!
 二人の黒騎士が、きらめく氷の矢によって、地面にくぎ付けにされる。
「残り……ひとり」
「じゃあ、あたしが特大の攻撃魔法(こうげきまほう)を……」
 魔旋律を唱えようと、最後のひとりの前に出るベル。
 しかし、ベルがきょだいな火の玉を黒騎士にぶつけようとしたその時……。
「……ごめんなさい」
 最後の黒騎士は、両手を上げてこうさんした。