WEB限定 書き下ろし小説

HP限定書き下ろし ショーン、騎士団入団!?

第三回

「……あのねえ」
 その日の夕方。
 東街区にあるベルの家では。
 まるで自分の家にいるかのように、だんろの前でくつろいでいるショーンを見ながら、ベルは肩をふるわせていた。
「どうして、わたしの家に、あんたがいるわけ?」
「おろかな質問を。入団試験があんな結果に終わって、このいだいなぼくが、名よあるサクノス家の屋しきに帰れると思うのか?」
 ショーンは大いばりで答える。
「だから! どうしてあたしの家なのよ!?」
「元はと言えば、ぼくが受からなかったのはお前たちがじゃましたせいなのだから、当然だろう」
「試験に落ちたのは、あんたの実力でしょうが!? あたし、関係ないわよ!」
「……でも……じゃましようと……してたのは……事実」
 これまたちょこんといすにすわり、くつろいでいるアーエスが小さな声で言う。
「アーエス、そこ、だまって!」
「とにかく、サクノス家の未来の騎士であり、ぜんと有望なこのぼくがとまってやるのだぞ? 感しゃするのがすじというものだろう?」
 動く気配がまったくないショーン。
「出てけ! 今すぐ!」
 ベルはバンッとテーブルをたたいた。
「ふん。聞こえんな。そもそも、君の母上のきょかは取ってあるのだ」
「出、て、い、け~っ!」
「いやだ」
「出てけ、出てけ、出てけ、出てけ、出てけ、出てけ、出てけ~っ!」
「いやだといったら、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ~っ!」
 そんなにらみ合う二人の横で。
「……おいし……」
 ひとり、アーエスはマフィンをほおばりながらカモミールのお茶を飲んでいた。

おしまい☆

ショーンが騎士団に入らなくて、ベルもアーエスも一安心…かな?