WEB限定 書き下ろし小説

セドリックVSおしゃべりフクロウ!!

4

「油断させておいて、罠にかける計画だったのだ! 見事にかかったな、おしゃべりフクロウ!」
 セドリックはおしゃべりフクロウに勝ち誇った。
 おしゃべりフクロウは今、逃げ道のない穴の中である。
「……あんたも檻の中なんだけど?」
 おしゃべりフクロウは指摘する。
「んー、それは計画外だね」
 セドリックも落とし穴の中に、おしゃべりフクロウといっしょに落ちていたのだ。
 部屋中の床が開く仕組みになっていて、落とし穴から逃れられる場所がなかったのだ。
「とにかく、ここから出しなさいよ!」
 おしゃべりフクロウはセドリックを締め上げた。
「やだよー」
 セドリックは舌を出す。
「もう怒られるのは嫌だから、君には捕まってもらうのだ」
「絶対、出てやる」
 おしゃべりフクロウは秘密の出口を探した。
 捕まえた泥棒を騎士団に引き渡すためには、ここから出さなければならない。そのための穴がどこかにあるはずなのだ。
「見いつけた! ここから外へ……」
 さすがは怪盗。おしゃべりフクロウは隠し扉をすぐに見つけてしまった。
「そんなこともあろうかと! 恐怖の罠、第二弾!」
 セドリックはまた壁に手を伸ばす。
 そこにはさっきと同じようなレバーがあり、それを引くと……。
「もう! 結局、またあんたも落ちてるじゃない!」
「またまた計画外」
 二人はさっきの穴の、そのまた下にある落とし穴に落ちていた。
 で、最初に戻って。
「おーい、誰かー!」
 怪盗おしゃべりフクロウは助けを呼んだが、返ってくる声はない。
「無駄だよー、この罠は脱出不可能なんだー」
 隣でひざを抱えて座っているセドリックが肩をすくめる。
「この僕が、王都で最高の建築家をやとって、作らせたものだからねえ」
「落ち着いてる場合かああああ!」
 おしゃべりフクロウはセドリックの肩をつかんでガタガタと揺らした。
「そもそも、あんたのせいでこうなったんでしょうが!?」
「ドロボーに入ったのは、君だよね?」
「……う」
 確かに、どちらの責任が大きいかと聞かれれば、間違いなく、おしゃべりフクロウだろう。
「一つ聞くけど、この罠、誰に設計頼んだの?」
 おしゃべりフクロウはふと、尋ねた。
「トリシアの友人の、アーエスという人だ。自分で天才建築家だと言っていたぞ」
 胸を張るセドリック。
「ああ、なるほどね」
 おしゃべりフクロウは納得してしまった。
 で、また隠し扉探しである。
(あった!)
 扉発見。
 でも、今度はセドリックには知らせない。
 黙ってこっそり、ひとりだけ抜け出すつもりなのだ。
 しかし。
「甘いよ! 恐怖の罠、第三弾!」
 おしゃべりフクロウの動きが何かおかしいと思ったセドリックはまたまた、レバーに手を伸ばした。