WEB限定 書き下ろし小説

はじまりの三人組!!

第二回

これまでのあらすじ。
おたがい、まだ知り合う前の三人組。

ベルはお嬢さま学校で、とりまきたちにちやほやされているとき、
道ばたで花を売ってかせぐ、まずしい少女に出会う。

一方、ショーンは、自分の屋しきの花だんの花を、
勝手につみとっている少女に出会う。

二人がそれぞれ、ぐうぜん出会った少女こそが…。

↓第二回、スタート!


     レッスン3  ベルとアーエス  

「この成績(せいせき)、はずかしいと思いませんか?」
 よくじつのアリエノール学園。
「……。」
 ベルは放課後、ひとりだけ教室に残されていた。
「あなたのお父様は、アムリオン王国でも一、二を争う……。」
「一番です。」
 先生の言葉をさえぎって、ベルは言った。
「はあ?」
「一、二を争う、じゃありません。父はアムリオンで一番の交えき商です!」
「では!」
 言いかえされた先生は、まゆをつり上げる。
「そのお父様にはじをかかせないように勉強するのですね! このままでは、あと何十年かかっても卒業はできませんよ!」
「……。」
 ベルはくちびるをとがらせ、そっぽを向いた。
「……もういいわ。帰りなさい。」
 これ以上話を続けてもむだだと思ったのか、先生は告げる。
「失礼します。」
 カバンを持ち、イスから立ちあがってとびらへと向かうベル。
 だが。
 そのかたごしに、先生の小さなつぶやきが聞こえた。
「ほんとにこまった子……やっぱり、アザラシの血を引いているからなのかしら?」
「!」
 バンッ!
 ベルはいきなりふり返ると、先生にカバンを投げつける。
「な、何するんです!」
「お母様をばかにしないで! お母様は妖精(ようせい)よ! アザラシなんかじゃない!」
 ベルは大またでろうかに出ると、とびらを後ろ手でたたきつけるようにしめた。