WEB限定 書き下ろし小説

はじまりの三人組!!

第六回

「友だちを助けようと、ここに飛びこんだんですよ。自分のきけんもかえりみずにね」
 口ごもるショーンに代わって、アンリが説明する。
「へえ」
 ショーンとそのとなりに立つベルの顔を見くらべ、兄はニッと笑った。
「やるじゃないか! まだまだチビッコで何にもできないと思っていたけど、好きな女の子を助けるためにきけんに飛びこむなんて、騎士らしくなったもんだ!」
「す、好きな女の子って……これ!?」
 ベルを指さし、ぜっくするショーン。
「どうしてあたしが!」
 ベルのほうはさらにはげしくこうぎする。
「ごかいにもほどがあるわよ!」
「そ、そうです兄上! だ?れがこんなガサツな女!」
「な、何よ!」
 ベルはキッとショーンをにらむ。
「あんたみたいなへなちょこ貴族が、このあたしに不満があるっていうの!?」
「お前のその、ぜ?んぶがいやだ!」
「こっちだって! あんたなんか絶?対にお断り!」
「まあまあ。ケンカするほど仲がいいってやつか?」
 ショーンの兄は、プイと横を向いた二人の肩をやさしくたたく。
「それじゃ、おれは仕事があるから。アンリ殿、こいつらのこと、たのみます」
「うん」
 アンリがうなずくと、ショーンの兄は仲間の騎士とともに、悪党たちを引ったてて城(しろ)に帰っていった。