WEB限定 書き下ろし小説

はじまりの三人組!!

第三回

同じころ。
「ええ! このぼくが商人の家を訪問するのですか!?」
 サクノス家の屋しきでは、ショーンが父親である騎士団長と話していた。
 父の部屋はいささか殺風景で、執務用(しつむよう)の机とイスのほかには、武具をしまう箱が、だんろのわきにあるだけである。
 もっとも、父がこの部屋を使うこともそう多くはない。
 騎士団本部の団長室ですごす時間のほうが、ずっと長いのだ。
「そうだ」
 騎士団長はうなずく。
 節くれ立った指は、長年、剣(けん)をにぎって戦ってきたしょうこ。
 父がひきいる白馬騎士団は、アムリオンに五つある騎士団の中でも、最も勇かんな騎士団として知られている。
「騎士とは、王国とそこに住む人々を守るもの。おのれが守るべき人々について、学ぶことも必要だ。自分の目と耳で、商人の生活を感じてくるがいい」
「で、ですが、女の子がいる家なのでしょう?」
「いやなのか?」
「女の子なんて、けいはくで、おくびょうで、頭が悪くて、さわがしくって」
 全女性をてきに回すような発言をするショーン。
「女の子のほうでも、男の子なんて、けいはくで、おくびょうで、頭が悪く、さわがしい、と思っているだろうな」
 騎士団長は、ひげの口元に笑みをうかべる。
「とにかく、これは騎士としてのぎむだ」
「……はい」
 そう言われては、ショーンはことわることができない。
「ところで」