WEB限定 書き下ろし小説

はじまりの三人組!!

第三回

翌日(よくじつ)の午後。
 ベルは赤いドレスをまとい、二階の居間でお客様を待っていた。
 予定の時間には、まだ少し間があるのだが……。
「おっそいわね!」
 落ちつかない様子で、ベルはさっきから部屋の中をグルグルと歩きまわっているのだ。
「あらあら、ベル、そんなに楽しみにしていたのかしら?」
 ベルの母はほほえむ。
「ちっが?う! 面どうなことは早くかたづけたいだけ!」
「あらあらあら」
 気の短いベルとひかくすると、ずいぶんとゆったりした口調の母。
「う?」
 ベルは母と話していると、どうも調子がくるう。
 だが、やがて……。
「お見えになりました」
 メイドがやってきて、二人に告げた。

(げっ! 何、こいつ!?)
 出むかえに二階からおりてきたベルは、少年のすがたを見るなり顔を引きつらせた。
 派手な服そうに、けいはくそうな髪型(かみがた)。
 ひょろっとしたひ弱そうな体つきに、ごうまんそうな表情。
(ちょっとは期待してたのに、ガッカリ!)
「この家の奥方(おくがた)か? 世話になる。ぼくはショーン・サクノス・ド・レイバーンだ」
 少年は大いばりで名乗った。
「あなたがショーンくんね!」
「わわわっ!」
 ベルの母親はいきなり、ショーンをギュ?ッとだきしめた。
「ちょっとお母様!」
 目を丸くするベル。
「やめて、はずかしいですわ!」
「あらあらあら。そうね、まずはあなたをしょうかいしないとね」
 ベルの母はショーンから体を放すと、手を取ってベルの前まで連れてくる。
「この子はベル。私のかわいい娘よ」
(そ、そんな、かわいいなんて! 自分の娘をしょうかいする時に言うことじゃないでしょ! かわいいのは本当のことだけど!)
 いくらふだんから自分に自信を持っているベルでも、頭をかかえたくなる。
「とにかく、二階に行きましょうね?」
 とまどうショーンを、ベルの母親は居間へと案内する。