WEB限定 書き下ろし小説

HP限定書き下ろし ショーン、騎士団入団!?

第一回

「君たちがもし、明日ぼくの応援(おうえん)に来たいのなら、止めはしないぞ」
「そう?」
 髪留(かみど)めを直すのにいそがしいベルは、そっけない。
「もしも応援に来たいのなら、ぼくはあえて、止めることはないだろう」
「……ほ~?」
 アーエスも聞き流す。
「もし、万が一! 応援に来るというのなら、ぼくは決して止めはしない! そう、サクノス家の名にかけて!」
「だ~っ! しつこいわね! 応援に来てほしいのなら、ハッキリそう言いなさいよ!」
「ショーン……応援……来て……ほしい……の?」
「べ、別に! ……ただ、応援に来たいのに、意地っ張りな君たちのことだから、えんりょしているのではないか、と心配しているだけだ」
 すなおじゃないショーンは視線をそらした。
「別にえんりょなんかしてないって。正直、行きたくないだけ」
 うで組みをして、はっきり言い切るベル。
「……ふあ~」
 アーエスもまったくきょうみないようで、小さなアクビをする。
「お、お前たち、少しは友達想いのたいどを見せたらどうだ!?」
「友だち? だれ?」
「……さあ?」
 とぼける二人。
 だが、これくらいのことで引き下がるショーンではない。
「そうそう。たしか、もうすぐ、魔数学(ますうがく)と古典詩学の試験があったはずだが?」
 ショーンはカバンから羊皮紙の束を取りだし、ポンッとつくえの上に置く。
「う」
「……うう」
 二人の視線が泳いだ。
 魔数学はベルの、古典詩学はアーエスの、苦手科目なのだ。
「ここにたまたま、その試験に出そうなところをまとめたものがあるのだが……」
 ショーンは軽くせきばらいをする。
「このぼくの晴れぶたいを、応援に来てくれる大切な友人になら、これを見せてあげてもいいかなあ~、などと思っているのだよ」
「……し、仕方ないわね。行ってあげるわよ、応援」
 ベルの手が、さっと羊皮紙をつかんだ。
「親友の……たのみ……ぜひ……応援しないと……」
 アーエスもうなずき、羊皮紙をのぞきこむ。
「よ、よし! 来てくれるのだな! 高貴(こうき)なるサクノス家の者として、君たちの応援に感しゃしよう!」
 ショーンは、キラキラとひとみをかがやかせた。