WEB限定 書き下ろし小説

HP限定書き下ろし ショーン、騎士団入団!?

第一回

「やっぱり……兄弟……ショーンに……にてる」
 エティエンヌの背中を見送りながら、アーエスはつぶやいた。
「にていてたまるか!」
 ショーンは本当にいやそうに顔をしかめる。
「第一の兄上は武勇(ぶゆう)にすぐれ、二番目の兄上は学者や詩人としてもちょう一流! だが、エティエンヌ兄上ときたら、騎士団にもコネで入ったとうわさされるダメ騎士なのだ。今日だって、父上や上の兄上たちが重要な任務(にんむ)でかけ回っているというのに、エティエンヌ兄上だけはここで、つまらない試験監督助手などをやらされている。ぼくは、ぜったいにエティエンヌ兄上のようにはならないからな!」
「ふうん」
 ふだん、家族のじまんばかりしているショーンにしてはきびしい言い方に、ベルはちょっとおどろく。
「ま、いいけど」
「……で……騎士団の……試験って……一体……どんなこと……するの?」
「知らん」
 アーエスがたずねると、ショーンは肩をすくめた。
「知らないって!? あんたね!」
 あきれるベル。
「試験の内容は毎年変わるのだ。今年の試験がどうなるのかは、試験の直前まで発表されない」
 ショーンは説明する。
「もっとも、高貴なるサクノス家の人間であるこのぼくだ。どんな問題が出ようと、楽勝であることにまちがいない」
「……何……その……こんきょの……ない……自信?」
と、アーエスがまゆをひそめたその時。
 ラッパが高らかに鳴りひびき、それを合図に受験者たちが試験会場の前のほうに集まりだした。
「ほら、始まるわよ! 早く行きなさい!」
 ショーンの背中をおすベル。
「おお、そうだな! では、軽~く、合格してくるか」
 ショーンはそう言うと、受験者の列のほうに向かった。

続く☆