WEB限定 書き下ろし小説

騎士の資格

第一回

その夜。
 プリアモンドは砦で、三人の騎士とテーブルを囲んでいた。
 木製の皿には、川魚の香草煮込み。
 村からもらってきた食材を、栗毛の騎士が料理したものである。
「雪、今夜は激しくなりそうですね」
 食事中、窓に近い席に座っている隊長が、外に目をやって不安そうな表情を見せた。 
「窓と扉を直してもらってよかったよ」
 ライ麦のパンをちぎりながら、プリアモンドがうなずく。
「でなきゃ、僕ら凍え死んでましたよねえ」
 年少の騎士がウインクした。
「うう」
 と、プリアモンドがまた小さくなったその時。
「……なんでしょう、あれは?」
 隊長がふと眉をひそめて立ち上がると、窓から身を乗り出した。
「川に明かりが? たいまつの明かりに見えますが?」
「……ああ、たいまつのようだ」
 プリアモンドも窓のそばに行き、ふもとの方を見る。
 川沿いの谷で、いくつのもの光がチラチラと動いていた。
 ちょうど村のあたりである。
「何かあったのかも知れませんね」
 と、栗毛の騎士。
「行ってみましょう!」
 年少の騎士は、馬小屋へと急いだ。