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ショーンの騎士団本部案内!

「ここが武器庫。騎士はそれぞれ、自分の武器を持っているが、任務によっては違う武器を持たなくてはいけない時もある。ここにはそのための武器がおいてある」
 シャーミアンは案内を続けた。
「こちらは待機室。当番の騎士が控えている場所で、小さな任務の場合、作戦会議もここで行う」
「なるほど。さすがに副団長、説明が上手いな」
 と、感心するショーン。
「ま、まあ、これも仕事だからな」
 シャーミアンの頬がちょっと赤くなる。
「こっちの部屋は資料室だ。過去の事件の記録などが置かれていて、事件の捜査に使われる。この階段を上ると、二階に女性の騎士たちが住む部屋、三階には男性騎士の部屋が並んでいる。白天馬騎士団の騎士のうち、七十人ほどがここに住んでいるんだ」
「質問! 部屋は広いんですか?」
 エマが手を上げた。
「女性騎士の場合、二人で一部屋だからな。ベッドや机があって、なかなか住み心地はいい。男性の方はよくは知らんが、六人で一部屋となっているらしい」
 男性の騎士の部屋には、三段ベッドが二つ。
 一人当たりの面積はそう広くないが、交替制の任務のため、全員が部屋にいることはほとんどない。だから、あまりきゅうくつに感じることはないのだ。
「自分の屋敷から通っている騎士や、東街区に部屋を借りて住んでいる騎士もいるぞ」
 ショーンが付け加える。
「ちなみに、どこに住んでいようが給料は変わらないので、食事つきの本部に住み込んだ方がお得だ」
「……うわー」
 一同は、世の中きびしいなーと言いたげな顔になる。
「質問! 入団試験に受かったら、すぐに騎士になって活躍できるんですか?」
 ショーンよりもちょっと年下の男の子が、シャーミアンに聞いた。
「試験に受かったら、まずは騎士の見習いとして訓練を受ける。見習いのことを従者といい、従者として認められて初めて本当の騎士になれる」
 シャーミアンは答える。
「騎士になる時には、王城で式典が行われる。これを叙任式といい、王女殿下が新しく騎士になる者の肩に剣を当てて、王国とそこに住む人々を護る誓いを立てさせるんだ」
「王女が?」
「剣を?」
「肩に当てる?」
 みんなは一斉にキャットの方を見た。
「こ、こわい!」
「剣が刺さるかも!」
「首がポロリ、なんてことに!」
「安心していい」
 シャーミアンは説明を付け足す。
「剣を当てるといっても刃の部分ではなく、平らな部分だからな。それに叙任式を行うのは、アムレディア殿下で、キャスリーン殿下ではない」
「よかったー!」
 全員の声が見事にそろった。
「あなたたち、本当に失礼すぎますわよ!」
 キャットは声を高くすると、怒りをショーンにぶつける。
「そもそも! あなたが悪いのです! こんなところに見学に来るなんて言い出すから!」
「いや、王家の人間として人望がないのは、自分のせいだろう?」
「だ、だ、だ、誰の人望がないと言うのですか!?」
「だから、キャスリーン殿下だと……」」
「あなた、本当に叙任式の時、首をはねますわよ!」
 キャットの怒りはさらにつのる。
「そんなだから人望が」
「黙りなさい、このダメ貴族!」
 と、そんなふうにショーンとキャットがやり合っている場所から少し離れて。