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ショーンの騎士団本部案内!

 ショーンの騎士団本部案内

「えーっ! 明日、学校が休みーっ!?」
 レンが教室に入ってきてアンリ先生からの伝言を告げると、『星見の塔』の生徒たちの間から不満の声が上がった。
「エドラムの町の近くに盗賊団が現れたんだ。だから、アムレディア王女が捕まえに行くことになった」
 黒板の前に立ったレンは説明する。
「で、アンリ先生と僕はそのお供。僕らの代わりの先生を、トリシアに頼んでもいいんだけど……」
「それだけはやめてーっ!」
 教室に、全員の悲鳴が響き渡った。
 トリシアがやってくるだけで、必ずとんでもない事件が起こる。みんな、そのことをよく知っているのだ。
「アンリ先生は瞬間移動の魔旋律を使えるから、明後日には戻れるよ。休みは明日だけさ……たぶんね」
 レンはみんなをなだめた。
「はいはいはいっ!」
 ベルが手を上げた。
「あたし、レン先輩についていって、盗賊退治のお手伝いします!」
「危険だからダメ」
 レンはすぐに却下した。
「いい考えがあるぞ!」
 と、勝手に立ち上がったのはショーン。
 ショーンの思い付きが、いい考えであったことなどほとんどない。
 でもまあ、教室の一同はとにかく話だけは聞くことにする。
「明日はこの僕、偉大なるショーン・サクノス・ド・レイバーンの案内で、白天馬騎士団本部の見学に行くのはどうだろう? ボケーッと休んでいるより、いい勉強になると思うが?」
「……へえ」
 まともな意見なので、レンはめずらしく感心した。
 確かに、休みで退屈したみんなが何かやらかさないようにするには、いい手である。
「でも、急に見学だなんて、迷惑じゃないかな?」
「いや! サクノス家の者であるこの僕が案内するのだぞ! 騎士団は大歓迎だ!」
 ショーンは胸を張る。
「んな訳ないでしょ」
「……同感」
 ベルとアーエスは顔を見合わせた。
 だが。
「なんか、面白そう」
「たまにはいいんじゃない?」
「楽しいかも」
 騎士団に行ったことのない生徒たちは、意外と乗り気である。
「休みの日ぐらい、ゆっくり休みたいものですわ」
 と、反対したのはキャットだけだ。
「いい機会だ! 我が白天馬騎士団の素晴らしさを、みんなも知るがいい!」
 ショーンは机の上に立ち、腰に手を当てて生徒たちを見渡す。
「じゃあ、アンリ先生の許可が出たらってことで」
 レンはとにかく、アンリに聞いてみることにした。

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