WEB限定 書き下ろし小説

はたらく喜び?

3

少しして。

「ねえ、お願い!」
「お願いします」
 お客が少なくなった頃を見計らい、ミノンとメデューサは、働かせてくれるようにセルマに頼みに行っていた。

「急に雇ってほしいって言われてもねえ」
 セルマは頭をかく。
 と、そこに。

「おしとごか! いいな! カナルもはらたく!」
 小さな女の子が駆け寄ってきて、しっぽを振った。
 名前はカナルといい、子犬、ではなく、オオカミに変身できる女の子である。

「おしとごじゃなくてお仕事。はらたくじゃなくて働くよ、カナルちゃん」
 と、メデューサは優しく教える。

「……なるほどね」
 セルマは3人を見て、考え込んだ。

「美女のメデューサはお客さんに受けそうだし、怪力のミノンはたくさん料理を運べる。カナルは……ま、フィリイたちよりはマシか? ……いいよ。じゃ、さっそく今夜から働いておくれ」
 セルマはうなずく。

「やったあ!」
「やりましたね!」
「やったのだ!」
 ミノンたちはパチンと手を打ち合わせて喜ぶのだった。