WEB限定 書き下ろし小説

はたらく喜び?

6

「ご注文は?」
 メデューサがやってきて、レンとダッシュにたずねる。

「俺、ステーキ!」
 と、ダッシュ。

「僕は川魚とキノコのシチューを」
 レンもメデューサに注文を告げた。

「……ぜっ~たいに怪しい」
 トリシアは木の実のプディングを口に運びながらも、フィリイたちから目を離さないように注意する。
 しばらくして。

「いい、ここは作戦通りにいくわよ」
 アーリンが、フロイラインとフィリイに目で合図した。

「えい!」
 まずはアーリンが尾ビレで水を床にまき散らし、その水をフロイラインがツルツルに凍らせた。

「そーれ、変身!」
 コウモリの姿になったフィリイがお客の間を飛び回ると、驚いた客たちは、立ち上がりかけて床の氷で足を滑らせる。
 客同士でぶつかったり、料理や飲み物をこぼしたりで、たちまち店は大混乱となった。

「てめえ、謝りやがれ!」
「そっちこそ!」
 お客さんたちの間で、派手な喧嘩が始まった。
 ビンや皿が割られ、いすが壊され、テーブルがたたき割られ、カウンターの上に人が投げ飛ばされる。