WEB限定 書き下ろし小説

はたらく喜び?

4

「ほんとに大丈夫なの?」
 日が暮れて。
 夕食を食べに来てカウンターに座ったトリシアは、カナルたちが働いているのを見て、思わずセルマにたずねていた。

「まあ、勢いで働いてもらうことにしたんだけど……どうだろ?」
 浮かない顔のセルマは、早くも後悔しているようである。
 とはいえ。

「おお、きれいな子が入ったね~」
「まあ、お上手ですね」
 メデューサは、デレ~ッとした顔になるお客さんに笑顔を返し――。

「おお、きれいな子が入ったね~」
「まあ、お上手ですね」
 メデューサは、デレ~ッとした顔になるお客さんに笑顔を返し――。

「これ、うまいぞ、お前も食え!」
 カナルがしっぽを振り、今日のおすすめメニューをお客に説明している。
 今のところ、何も問題はないようだが……。

「で、フィリイたちは? クビにしたの?」
 トリシアは身を乗り出し、声をひそめた。

「それもかわいそうな気がするんだよね」
 と、セルマ。

「けど、6人も雇えないでしょ、ここ?」
「そうなんだよ」
 セルマはお店の隅っこの方に目をやった。
 そこにはアーリン、フィリイ、フロイラインがかたまって座っていて、元気に働くメデューサたちをジ~ッとながめている。

「……何か、悪いことたくらんでないといいんだけど」
 トリシアが心配そうにつぶやいたその時。